障害ある女性が働ける場所を 元女性アナ、伊達に就労支援施設

 
「女性がやりがいを持って働ける場にしたい」と話す佐久間さん

 県内初となる女性障害者向けの就労継続支援事業所「工房もものたね」が1日、伊達市にオープンする。運営法人の代表を務める佐久間香里さん(40)は県内のテレビ局でアナウンサーを務めた後、障害者福祉の現場で働いた経歴を持つ。「女性が誇りとやりがいを持って働ける場にしていきたい」と意欲を語る。

 NPO法人かおり福祉会(福島市)が運営する施設。就労継続支援A型とB型に対応し、女性たちは地元農産物を使った焼き菓子やジャムの製造、編み物や刺繍・布製品などハンドメイド品の制作に当たる。

 佐久間さんは埼玉県出身。大学卒業後、2005(平成17)年から2年半にわたり福島のテレビ局でアナウンサーとして働き、退職後は東京でフリーアナウンサーとして活動した。大学生の時に父が病に倒れ、寝たきりの状態から仕事復帰するまで家族で支えた経験があったことから福祉に興味があり、フリーアナの傍ら介護現場でアルバイトとして働き、大学院にも通いNPOや福祉について学んだ。

 障害者福祉の現場で働く中で、障害を持つ女性が男性スタッフによる介助に抵抗を感じたり、過去にハラスメントを受けて男性恐怖症になってしまうなどの実態があることを知った。女性の障害者の平均年収が男性障害者の半分程度にとどまっているという現実もあり、女性向けの施設の必要性を強く感じた。震災をきっかけに「福島のために何かしたい」と考えるようになり、本県で施設を開設することになった。

 同工房のスタッフは全員女性。女性の体調などを考慮し、それぞれの能力を生かした仕事を提供する。「今後は利用者が作った製品を提供するカフェやコミュニティースペースの運営にも挑戦したい」。佐久間さんの夢は広がっている。

 「工房もものたね」の住所は伊達市伏黒字西本場1の1。問い合わせは同工房(平日午前9時~午後5時、電話024・572・6822)へ。

 工房の運営費用募る

 かおり福祉会は12日まで、工房の運営費用を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。目標額は100万円で、利用者の賃金の一部や工房運営費などに役立てる。専用ページ(https://readyfor.jp/projects/114391)に詳細を掲載している。