原発避難の女性映画に 福島で31日から上映、監督「人生伝えたい」

「原発事故は終わっておらず、現実を多くの人に見てほしい」と語る古居監督
東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた飯舘村の女性3人を追ったドキュメンタリー映画「飯舘村 べこやの母ちゃん―それぞれの選択」が完成した。31日から福島市のフォーラム福島で上映される。古居みずえ監督(74)が2月28日、県庁で記者会見し、「3人の女性は原発事故で大事なものを奪われた。かわいそうで済ませず、彼女たちの人生の一端を伝えたい」と話した。
古居監督は長年パレスチナ取材に従事し、女性や子どもに焦点を当てた映画を手掛けてきた。今回の作品は、原発事故が起きるまで村内で酪農や繁殖を営んでいた3人の生きる姿に迫り、事故後約10年間の葛藤や決断の軌跡を伝えている。
第1章「故郷への想い」では、両親が開拓した土地で45年間にわたって酪農と繁殖に従事してきた中島信子さん(73)が、避難先で郷愁の念を募らせつつ、除染後も下がり切らない放射線量を理由に帰還をためらう胸中を描く。第2章「べことともに」は新たな土地で夫と牛飼いに挑む原田公子さん(63)、第3章「帰村」は義父母の希望をかなえるため一緒に帰還することを選択した長谷川花子さん(69)を軸にそれぞれ展開する。
作品は原発事故後の仮設住宅生活に密着した「飯舘村の母ちゃんたち 土とともに」(2016年公開)に続くシリーズ2作目。第1作とは異なる3人を事故直後から取材し、時の経過とともに揺れ動く心情を180分間の映像にまとめた。
フォーラム福島での上映は4月6日まで。