「なみえ寺子屋」始動 町民と移住者がタッグ、伝統芸能を継承

浪江町の町民と移住者が交流する有志のグループ「なみえ寺子屋」が5日、活動をスタートした。2021年10月に移住してきた和太鼓奏者の葛西啓之さん(36)が発起人となり、伝統芸能の継承などを通じて地域の新たなつながりをつくることを目指す。初会合には子どもから高齢者まで幅広い住民が参加、町に伝わる田植え踊りなどについて語り合った。
会の発足のきっかけは、葛西さんが地元の樋渡・牛渡地区の神楽と田植え踊りに出合ったことだった。和太鼓演奏で養われた感覚で、「伝統芸能の所作の一つ一つには浪江の歴史が染み込んでいる」と感じ取り、移り住んだ浪江の伝統や文化をもっと学んでいきたいと考えた。そこで、伝統文化を切り口に移住者と古くからの住民が話し合える場をつくってみよう有志に呼びかけた。
初発神社で開かれた会合には町内の幾世橋、請戸、南津島、樋渡・牛渡、川添など各地の芸能保存団体のメンバーらが集まった。各団体の代表者は東京電力福島第1原発事故を乗り越えて踊りを継承してきた苦労や、地元で活動を再開した時の喜びなどについて語った。
会合は参加者一人一人が発言する形で行われ、「伝統芸能には人と人をつなげる役割がある」「移住者の人に担い手になってもらえれば助かる」などの意見が出た。また、各団体の後継者不足について「複数の団体に参加するマルチプレーヤーがいてもいいのでは」などの指摘もあった。参加した移住者から「自分にできることから協力したい」との声も上がった。
葛西さんは「移住してきた人も含めて何ができるのか、ざっくばらんに話し合うことが大事だと考えている」と、初回の会合を振り返った。
今後は定期的に会合を開き、伝統芸能への関わり方などを話し合っていくという。