飯舘の枝葉...都心のオブジェに 花卉農家が提供「村復興の一助」

 
飯舘村の知人の里山から枝葉を搬出する小原さん

 東京都の商業施設「有楽町マルイ」で6日、規格外だったり、廃棄されたりする植物で施設を彩るプロジェクトが始まった。エントランスに設置されたオブジェには、首都圏から移住した飯舘村の花卉(かき)農家小原健太さん(44)が提供したヒバやモミの枝葉が使われている。小原さんは「飯舘の里山に目を向けるきっかけをつくることで森林再生を通じた村の復興につなげていきたい」と力を込める。

 「通常であれば野ざらしにされるか、廃棄される枝葉を価値あるものにしたい」。小原さんはトルコギキョウ栽培にいそしむ傍ら、間伐や枝打ち作業で出る枝葉を、インテリアやイベント会場用の装飾品として活用する取り組みを進めている。

 有楽町マルイに展示されているオブジェは、ドライフラワーなどを製造販売する「ethica(エシカ)」(東京都)が手がけた。交流サイト(SNS)を通じて小原さんとつながった担当者がプロジェクト参画を提案。小原さんは「飯舘の復興の一助になれば」と引き受けた。

 プロジェクトは「ethical gardenプロジェクト―輝けなかった草花たちが、未来を咲かせる春の花園」と銘打ち、小原さん提供の枝葉や全国の花卉農家から寄せられた花材を組み合わせて高さ約2メートルのオブジェを制作した。

 小原さんは枝葉を「あぶくまの草木」のブランド名で販売することも視野に入れる。将来的には収益の一部を、森林保全活動を展開する団体などに寄付して震災や原発事故の影響を受けた里山の再生を後押しする考えだ。

 小原さんは「今回のような取り組みが一過性とならないよう、里山の現状や復興状況を継続して発信していく」と話した。