がん闘病...明るく漫画に 福島県内在住・やよいかめさんが出版

 
コミックをPRするやよいかめさん。「漫画を見てがん検診に行く人が増えてほしい」と話す(写真上)と子どもたちにがんであることを伝えた際の一こま。家族、親族、医療従事者の群像劇が描かれている

 本県在住の漫画家やよいかめさん(本名非公表)は、KADOKAWAから自身の闘病生活を漫画にしたコミックエッセー「鼻腔(びくう)ガンになった話」を出版した。

 やよいかめさんは兵庫県出身。夫の転勤に伴い、2017年春に9歳の長女と7歳の長男の家族4人で岩手県から県内に転居してきた。コミックでは、がんの告知を受けてから入院、手術、退院までの経験をユーモアたっぷりに明るく描いている。

 やよいかめさんのがんが発覚したのは転居してきてすぐ。転居前から体の不調を感じていたものの、引っ越し作業や家事、育児を優先して病院に行かず、いよいよ眠れないほどに悪化してから検査を受けた。この時のことをコミックでは「子どもたちが風邪をひいたらすぐ病院へ行くのに自分のことはいつも後回しでした」と振り返っている。

 漫画はがん治療を終えてから描き始めた。元々絵を描くことは好きだったが大学で選んだ専門は陶芸。「いつ死ぬか分からないから好きなことをやろう」と考え、子どもの頃から好きだった漫画として闘病生活を描くことにした。「漫画を見てがん検診に行く人が増え、親を亡くす子どもが減ってくれれば」と話す。

 コミックでは家族4人が笑顔で遊ぶシーンでモノローグが入る。「自分のことを大事にしよう。それが大切な家族を守ることにつながるのかも」

 現在は台所でタブレット端末を使って漫画を描いている。「流し台とコンロの間が子どもたちに一番邪魔されない」と笑い、タッチペンを走らせながら子どもたちの成長を見守る。

 A5判、フルカラー。1320円。書店のほかアマゾンなどの通信販売でも取り扱っている。