赤べこの背に「柳津プライド」 伝説継承へ独自のデザイン考案

会津地方の伝統工芸品「赤べこ」の発祥の地とされる柳津町。この地で「赤べこ伝説」を継承しようと、同町オリジナルの赤べこ生産に取り組む人がいる。地域おこし協力隊の伊藤千晴さん(32)だ。町も知名度向上や観光交流人口の拡大に向けて伊藤さんの赤べこに期待をかけており、伊藤さんは「自分がいま作っている赤べこは、ここが出発点」と責任感をにじませる。
赤べこは疫病を防ぐとの言い伝えもあるため、新型コロナウイルス禍で人気が高まった。またJR只見線の全線開通も追い風となりそうだが、製造を担う職人は会津若松市など一部の自治体にしかいない。
柳津町は伝説発祥の地とされながらも、生産を担う工房はなかった。協力隊として委嘱を受けた後、伊藤さんは西会津町の工房で修業を積み、出身地である群馬県高崎市のだるま工房から協力を得て独自のデザインを完成させ、生産を本格化させている。若者らの人気も取り込みたいとの思いから、従来の赤べこよりも丸みを帯びさせた。背中には柳津の「や」を図案化した模様を入れている。
来年には柳津町がJR只見線会津柳津駅を改修して整備を計画している情報発信交流拠点内の工房に入る予定だ。伊藤さんが作る赤べこは会津柳津駅に降り立った人たちがまず目にする、同町を象徴するものとなる見込みとなるだけに「自分で勝手に思っているだけかもしれないが、責任は重いと感じている」と緊張感をにじませる。町は「施設整備などで支援したい。伊藤さんの赤べこをベースにした商品開発も検討していく」と期待を寄せる。
赤べこ生産を担いながら、伊藤さんはある思いを抱く。同町の協力隊となったのは、赤べこ伝説の舞台ともなっている、同町の円蔵寺から見る只見川の雪景色にほれ込んだからだ。絶景を目の当たりして移住を決めたが、同町の移住・定住者は只見線の全線再開通後も伸び悩んでいると感じている。
伊藤さんは「官民を巻き込んで議論する場が必要なのではないか」と思いを吐露する。観光客と住民でにぎやかさが増した町を想像しながら、赤べこに優しいまなざしを向けた。(鹿岡将司)
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