高橋3兄弟が作品集 四季や故郷、俳句や短歌「震災風化させない」

「兄弟の作品をまとめた一冊ができてうれしい」と話す(左から)長男俊彰さん、次男征治さん、三男俊光さん
伊達市の高橋俊彰さん(86)と俊光さん(81)、福島市の征治さん(84)の3兄弟は、それぞれが詠んだ俳句と短歌を作品集「歩み」にまとめた。四季の移ろいのほか、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故発生後の故郷を題材に詠んだ作品も多く「あの時の体験を風化させないよう、未来に伝えていきたい」との思いを作品集に込めた。
長男の俊彰さんと次男征治さんは元中学校教諭。英語を教え、校長などを務めた俊彰さんは定年退職後から精力的に俳句を学んだ。征治さんは国語教諭だったこともあり、兄弟の中でも特に文学に造詣が深く、県曠野(こうや)俳句会会長などを歴任した。三男の俊光さんは総務省に勤め、中国・四国管区行政評価局第一部長退職後に地元伊達市に帰ってきた。
俊光さんは「除染とて 表皮剥ぎたる 柿の木の 白き木肌に 風吹きつける」と、除染によって樹皮がむかれた柿の木の痛みを句で表現。「果樹栽培が盛んで自然豊かな地元が変わってしまった」と原発事故後の変わりゆく景色を数多く詠んでいる。
俊彰さんは作品集の出来栄えに「それぞれが自由に詠んでおり、共通の趣味だったことに驚いた。兄弟だから趣味が似て、三兄弟の長生きの秘訣(ひけつ)かな」と笑う。作品集は多くの人に手に取ってもらいたいとの思いから、県北の公民館や図書館などへ寄贈している。問い合わせは俊光さん(電話024・576・6127)へ。