菊地凛子さん「特別な作品」 福島県ロケ映画、先行上映あいさつ

 
先行上映後の取材に「日の出前のすごく寒い時間に行った海岸での撮影が思い出深い」と語る菊地さん。ポスターの写真は相馬市・大洲海岸で撮影された=フォーラム福島

 浜通りなどを舞台に、孤独なヒロインがもがきながらヒッチハイクで故郷を目指す、熊切和嘉監督、菊地凛子さん主演の映画「658km、陽子の旅」が28日、県内などで公開される。17日は先行上映会が福島市の映画館フォーラム福島などゆかりの地で開かれ、菊地さんが舞台あいさつした。

 菊地さん演じる陽子は、引きこもりがちな日々を送る42歳のフリーター。20年以上断絶していた父の訃報を受け、東京から故郷の青森・弘前市へ向かうが、外の現実は厳しく、人々との会話もままならず傷ついていく。それでも父の出棺まで1日足らず...。

 舞台は浜通りを経由し北上するルートで、県内ではいわき市内や県道広野小高線沿線などで2021年12月8~10日にロケが行われた。特に相馬市の大洲海岸と富岡町付近(設定)では、主人公が苦しみながら夜の浜辺を歩き出し、地元の人々との出会いによって心境が変化していく中盤の山場が撮影された。

 浜通りの風景映画的

 フォーラム福島であいさつに立った菊地さんは「真冬の海岸や海岸沿いの道の風景が映画的」と浜通りでの撮影の特別な印象を振り返り「少人数で作った映画で、それが私の原点でもある。キャリアの中でもスペシャルな作品になった」と語った。

 「658km、陽子の旅」は、菊地さんの邦画初主演作で、第25回上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の3冠に輝いた。県内ではフォーラム福島とまちポレいわき(いわき市)で上映予定。