半世紀ぶり「海の家」 四倉海水浴場、地元漁師の熱意で開設許可

 
開設した海の家で「大勢の人に海を楽しんでほしい」と語る本間さん

 いわき市の四倉海水浴場に、半世紀ぶりとなる海の家が開設された。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行する中、地元からも観光回復の起爆剤として期待がかかる。運営する漁師の本間仁史さん(45)は「多くの子どもたちに来てもらえる海になってほしい」と願いを込めた。


 海の家は海開きに合わせ、15日に開設した。連休には早速ひっきりなしの行列ができ、かき氷やラーメンを求める人でにぎわった。海の家の名前は「日と出」。四倉の海のキレイな日の出に、海の生き物のヒトデや自分の名前の「ひとし」をかけた。

 本間さんはいわき市四倉町出身で、幼い頃から海がある生活が当たり前だった。20代の頃から漁師としてウニやアワビ漁をしており、海に対する思いは人一倍強かった。

 「四倉盛り上げの手助け」

 海の家の運営に興味を持ったのは10年ほど前。震災から復旧した海岸に徐々に県内外から人が訪れるようになったが、食べ物や飲み物を売る場所がなかった。「四倉を盛り上げる手助けがしたい」。受け入れ態勢の必要性を感じた。

 海の家には、素性が知れない人間が参入してくるケースも多く、四倉ではこれまで受け入れていなかった。しかし、信用できる地元の人間から声が上がったことで約50年ぶりに許可された。四倉区長会長の公平和俊さん(81)も「地元の人間が声を上げてくれてありがたい」と話す。

 海の家の開設には行政関係への煩雑な手続きも多く、諦めかけたこともあったというが、周囲の助けもあり、何とか海開きに合わせたオープンにこぎ着けた。うれしそうに海の家を利用する人たちを目に本間さんは「頑張って良かった」と笑顔を浮かべる。

 今年はビーチバレーなどのイベントも開催される予定で、さらなる盛り上がりが期待される。本間さんは「四倉のきれいな海を楽しんでもらえるよう力を尽くしたい」と意気込んでいる。