爆笑のこおりやま寄席 桂宮治「落語楽しむ余裕ありがたいこと」

 
こおりやま寄席の独演会で情感豊かに「ちりとてちん」を披露した桂宮治

 郡山市のけんしん郡山文化センターの「こおりやま寄席」は、落語を愛する市民に支えられ昭和から続いてきた歴史がある。同寄席に若手時代から出演し、真打ちとなって独演会を開いた桂宮治は「寄席文化が根付き、無駄な時間とも言える落語を楽しむ余裕がある人が多い地域ということ。ありがたいことです」と話す。

 宮治の独演会は7月に開かれた。楽屋入りしたTシャツと短パン姿のまま舞台に現れ観客の度肝を抜いた後、爆笑のフリートークを展開。高座では一転、「ちりとてちん」「もう半分」などの演目で、笑いや悲しみ、怒りなど多様な感情をちりばめた人間模様を披露した。

 同寄席では自身初の独演会。「今回は1人で責任感があります。でもお客さんに楽しんでもらう気持ちで手を抜かないというのはいつも変わりません」と高座に懸ける思いを語る。

 2022年1月からテレビ番組「笑点」にレギュラー出演している。知名度が一気に高まり、57年続く番組のすごさを感じているという。出演者同士の楽しい掛け合いが魅力の一つだが「間合いや呼吸など師匠たちが手を差し伸べてくれ、それに僕や(春風亭)一之輔兄さんがつかまっていく、という連携がうまくいっている」と明かす。「笑点は全員で協力して作っている作品。お酒を飲みに行ったり楽屋で話したり、家族のように接することができるからこそあの雰囲気が生まれます。いわば『笑点家(け)』という家族の物語なんです」

 4月には自叙伝「噺家 人嫌い」を出版した。不登校だった子ども時代や、夢を模索した役者時代、売れっ子セールスマンから落語家への転身などを語った。「この本を読み直すと、結局何とかなるんじゃないかと思える。僕は逃げてきたけど、今ここにいる。今の自分を駄目だと思わず、無理に闘わず、人に感謝し、『ここだ』というときに頑張ればいい。頑張るものに出合えなかったらそれも人生ですから、それでいいんじゃないでしょうか」と、悩みを抱える人々にエールを送る。自身の性格を「うーん、『変な人』(笑)。人前に出るのが好きなのに、人と接するのが嫌い」と分析。「でも人がいないと何もできない。助けられて引っ張り上げられて、今があります」

 次回は10月29日

 次回の「こおりやま寄席」は10月29日午後2時から春風亭小朝独演会を開く。料金は、一般3200円。11月26日午後2時からは、女性落語家が集う若手落語会を開催。料金は一般3000円。問い合わせはけんしん郡山文化センター(電話024・934・2288)。