一大産地へ「園芸ギガ団地構想」 JA福島さくらが取り組み

高収益で需要が見込める園芸作物の大規模な生産団地をつくり、作業効率を上げる「ふくしま園芸ギガ団地構想」の取り組みを周知しようと、JA福島さくらは24日、いわき市の長ネギ選果調製施設の建設予定地や郡山市のキュウリのほ場を報道機関に公開した。
ギガ団地は米価下落や資材費の高騰などの影響を受ける農家の所得増大を目指す。高収益作物1品目で販売高1億円以上の産地化を目標に掲げており、同JA管内では郡山地区でキュウリ、いわき地区で長ネギとイチゴ、たむら地区でピーマン、ふたば地区でトマトの生産を計画している。視察にはJA職員や報道関係者ら約20人が参加した。
長ネギの選果調製施設はギガ団地化に伴う施設整備の一環で、いわき市下片寄に延べ床面積782平方メートルの平屋を建設する。同施設の設置は市内で初めてで、これまで生産者が行ってきた長ネギの収穫や皮むきなどの下処理、出荷までの一連の流れを担う。
同JAによると、同地区の長ネギ生産者は113人、平均年齢は73歳で高齢化が進む。施設整備により生産者の負担軽減や新規就農者の参入、作業の効率化による面積拡大を後押ししたい考え。10月から造成工事に着手し、2025年11月に本格稼働する予定。
郡山市では、キュウリに関する同市園芸ギガ団地組合の影山和雄組合長のほ場を視察した。影山組合長は現在、ハウス約10アールで長女の美和さんらとキュウリを栽培している。今秋には、国や県、JAなどのギガ団地の補助事業を活用してハウス約10アールを増設する。
同組合は18人で30~40代の若手生産者を中心に構成。補助事業を活用して新規就農者5人を含む計7人が49アールを栽培する。販売高は本年度3億円(昨年度比約4千万円増)まで伸ばし、将来的に5億円を目標にしている。影山組合長は「営農指導体制の拡充や施設化の推進、新規就農者への継承を展開し、20年、30年後も持続可能な一大産地化を目指したい」と意気込んだ。