難民問題伝える旅 スウェーデンの活動家、西サハラの実情語る

 
西サハラの現状を伝えようと世界を巡っているゴトビさん(左)とラドラアさん

 隣国と独立派との争いにより難民が発生しているアフリカの「西サハラ」の現状を伝えようと、スウェーデン出身の人権活動家サナ・ゴトビさん(30)とベンジャミン・ラドラアさん(30)は自転車で世界各国を巡っている。8月25、26の両日は郡山市を訪れ、講演などを行った。ゴトビさんは「西サハラの実情が世界で知られていないからこそ、知らせなくてはいけない」と、難民の現状などを広く伝えている。

 西サハラはスペインの旧植民地で、アフリカ大陸の北西部に位置する。スペインが撤退後、モロッコと、西サハラの独立派「ポリサリオ戦線」による争いが勃発。1991年に停戦したものの、現在もモロッコの支配が続く。隣国アルジェリアにある難民キャンプには、西サハラを逃れた約20万人が暮らしているという。  2人は昨年1月に難民キャンプを訪れた。ゴトビさんは「西サハラを追われたことで50年間家族と会えていないという人もいた」と、状況の深刻さを訴える。

 2人は西サハラの現状を各国の人に伝えるため、昨年5月にスウェーデンを出発し、欧州各国を南下してバルカン半島からトルコに渡り、その後アジアへ。5月に韓国・釜山(プサン)から福岡県に渡って日本を縦断中で、日本では京大や早大など多数の大学で講演をこなし、これまで学生千人ほどに西サハラの問題を伝えている。

 今後は欧州に渡って最終目的地の難民キャンプを目指す計画だ。「政府だけが力を持っていると考えてしまうけれど、私たちが西サハラのことを伝えて人とつながることができれば、力になれる」。2人は西サハラの国旗をなびかせながら旅を続ける。