エッセー漫画「ただいまふくしま」100回 佐藤ジュンコさんに聞く

福島民友新聞別冊「タッチ」に連載中のエッセー漫画「ただいまふくしま」が8月に100回を迎えた。作者の佐藤ジュンコさんは伊達市霊山町出身で現在は仙台市在住のイラストレーターだ。今月発売したばかりの新刊のことも含め、ジュンコさんに思いを聞いた。(佐藤香)
「ただいま ふくしま」 福島民友新聞別冊「タッチ」に毎月第2、4木曜掲載。2019年4月連載開始。福島で見つけたものやおいしいもの、思い出、家族との交流など、ジュンコさんと福島の日常を描く。次回は28日掲載。
■新しい目で見る福島、出会い直す面白さ
―連載100回を迎えた感想は。
「続けられてうれしい。福島を離れた地元の友達も、実家のご両親が連載をためておいてくれて、帰省したときに読むのが楽しみだと言ってくれる。仙台にいても福島のお薦めを教えてもらうことが多くなった。"『ただいまふくしま』の佐藤さん"と紹介されることも増えました」
―連載を始めてからの変化は。
「旅に出る機会がすごく増えた。描くことが行動の動機になっている。福島には18歳までしかいなかったので、お酒が飲めるお店などは全然知らなかったけれど、年を重ねてから新しい目で見る福島は面白い。連載という機会があったから、もう一回、福島を知り直して出会い直している感じです」
2023年6月22日掲載、第97回「旧伊達郡役所」より。連載のネタ探しに協力してくれるジュンコさんの父と母
―実家の家族の反応は。
「ネタ切れになるんじゃないかと父がすごく心配してくれる。『この間新聞にこんな記事出てたんだけど』と情報提供してくれます」
―思い出深い回は。
「相撲の大波3兄弟の話を描いた後、(3兄弟の実家でもある)福島市の『ちゃんこ若葉山』に行ったら、その回の切り抜きがお店に張ってあって、とてもうれしかった。福島にもう少し関わりたい、もっと知りたいという気持ちと、元々お相撲が好きだったことを、3兄弟がつないでくれたような思いです」
2022年5月12日掲載、第71回「ちゃんこ若葉山」より。若隆景関が初優勝を果たした後に店を訪れた時の様子を描いた
―福島の良さは。
「新しく変わり過ぎないところ。古いお店が残っていて、ちょっとうらやましく思うほどです。行きたい所や描きたい場所は、『描きたい帳』にいっぱい書き留めてあります」
■今月新刊も
―新刊「マロン彦の小冒険」が発売になりました。「ただいま~」とはまた違ったテイストですね。
「世の中へのもやもやとか、ぶーぶー言いたくなることを、(主人公の)マロン彦に代わりに言ってもらってる感じです。当時はコロナとかオリンピックとか政治のあれこれとかで、もやもやがとんでもなくたまっていた。自分の気持ちの置き所として、描く場所があって良かった。もやもやを言葉と絵に置き換えることで、思っていることや言いたかったことを確認できた」
―自身にとってマロン彦の存在は。
「分身であり友達であり、自分が描いている紙の上のものではあるけれど、なんか不思議で相棒的な。そんな"もう一個の自分"という感じです。今後、出版に合わせて県内でもマロン彦の展示やお話し会などを企画しています」
新刊「マロン彦の小冒険」(ちいさいミシマ社・2640円) ウェブマガジンの連載(2018年4月~23年3月)を書籍化。社会と自分の間に生じる波紋に向き合い、5年分の「小さな祈りと選択」を描いた新境地のコミックエッセー。発行を記念し、福島市の書店コトウで28日から10月13日まで原画展開催(火曜定休)。ふラっトカフェ(伊達市)では30日にトークイベントを行う。詳細は各店のインスタグラムから。
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