歴史刻んだピアノの音色 佐倉、荒井小児童らが演奏

 
児童らのピアノの演奏に聞き入った来場者

 米ハワイに移り住んだ旧佐倉村(現福島市)の元住民から1949年、佐倉小に贈られたピアノの演奏会が15日、同市西学習センターで開かれた。来場者が、児童らの心がこもったピアノの演奏に聞き入った。

 演奏されたピアノは、旧佐倉村からハワイ州マウイ島などに移住した日系人が寄付金を募って購入し、佐倉小に贈られた。児童や地域住民に愛されてきたが、月日の流れとともに使用される機会が減り、廃棄処分も検討されるまでになった。

 その中で、当時の佐倉小に通っていた佐藤芳子さん(82)=同市=が2021年、「どうにかピアノを残してほしい」と西学習センターに掛け合い、ピアノの保管が決まった。ピアノ線が切れるなどしていたピアノは3度の修理を経て本来の響きを取り戻した。佐倉、荒井の両小児童ら7人が澄んだ音色を響かせた。

 佐倉小6年の島田心和(こころ)さん(12)は「歴史のあるピアノを弾けてうれしかった」とはにかんだ。演奏会に来場した佐藤さんは、佐倉小でピアノに触れたことがきっかけで音楽教師となった。「このピアノがなければ全く違う人生を送っていたと思う。ピアノが子どもたちのそばにあり続けてほしい」と願いを込めた。