水彩画 生活カラフルに 南会津の遠藤さん 77歳でデビュー

 
「鑑賞してくれる人の一言が励みになる」と水彩画に没頭する遠藤さん

 南会津町の遠藤りんさん(85)は、黙々と水彩画に取り組んでいる。「無心になって描いている。誰かに少しでも見てもらえたらうれしい」と趣味が続いている理由を語る。

 水彩画デビューは、77歳と「遅咲き」だった。食品の移動販売の仕事などに取り組んでいた遠藤さん。「働くのに一生懸命で、趣味らしい趣味もなかった」という。夫を亡くしてから自身も体調を崩したが、徐々に元気になってきた頃に「絵でも描いてみようか」と何げなく始めたのが水彩画だった。

 自宅で写真を見ながら、絵はがきに風景画を描いた。作品を知り合いに見てもらった際に「ほかの人にも披露した方がいい」と勧められた。町内の病院関係者に相談したところ「作品を持ってきてみて」と言ってくれた。遠藤さんは「絵はがきを12枚くらい持っていった時の反応が忘れられない。『何とか人に見せても大丈夫そう』だったから」と笑う。

 作品は病院の休憩室に飾ってもらえるようになり、2カ月に1度くらい新作を持参した。看護師から「だんだん上手になってきた」と褒められ、創作意欲が増した。令和に入ってから、市民サークル「きがるに絵画クラブ」に参加し、水彩画の技術を磨いた。5月には行政区長の協力があり、近所の集会所で個展を開くことができた。

 「鑑賞してくれた人の一言が励みになる。ある人に『遠藤さんの絵はなんぼ見ても飽きない』と言われた時は、もっと頑張りたいと思えた」と話す。これまでは風景画だけだったが、最近では知り合いに紹介された本を参考に、静物画にも挑戦している。「これからも自分のペースで続けていきたい」と前を見据える。(富山和明)