命名「恵比寿ヒラメ」 訳あり廃棄...一転ブランド化へ、相双漁協

相馬双葉漁協は、ヨコエビによる食害で市場に出回らないヒラメの商品化を目指す。このヒラメは海中で自然と血抜きされ、臭みもないため、漁業者の中には「通常よりおいしい」と好んで食べる人もいるほど。原釜地区青壮年部長の石橋正裕さんは「見た目が良くないだけで、味はおいしい」と太鼓判を押す。同漁協は「恵比寿ヒラメ」と銘打って消費拡大につなげたい考えだ。
同漁協によると、春から夏にかけ、固定式刺し網にかかったヒラメにヨコエビが集団で食い付き、えらや内臓などを食べられる被害が発生。網にかかったヒラメの1~2割が最短で2時間ほどで被害に遭い、漁業者はやむを得ず海に廃棄しているという。ヨコエビによる食害は東日本大震災前より拡大しており、漁業者の死活問題になっている。
このため同漁協は恵比寿ヒラメとして新たにブランド化し、市場価値の向上を図る。フライなどの加工品を想定しており、水揚げ量や額の向上、廃棄量の削減につなげる狙いがある。ブランド名は、漁業の神「恵比寿様」と「エビに吸われる」から名付けられた。
PRの第1弾として、同漁協は11月4日の相馬原釜魚市場まつりでヒラメのフライを振る舞う。若者のアイデアを商品に取り入れようと、郡山市の国際ビューティ&フード大学校の学生がフライのソースを開発する。石橋さんらは26日、同校を訪れ、フード学科2年の根本英(すぐる)さんと三瓶凱世(かいせい)さんらに開発を正式に依頼。学生は試作した中華風と洋風のソースをかけたフライを振る舞った。
石橋さんは「若い世代で調理を学んでいる人に味を付けてもらい、魚食の普及につなげたい」と語り、根本さんは「いただいた意見を参考に試行錯誤し、良いものを作りたい」と意気込んだ。同漁協の斎藤智英さんや桜井健博さんらが同席した。
4日魚市場まつり、フライ150食を提供
相馬原釜魚市場まつりは11月4日午前10時から、相馬市の相馬双葉漁協原釜荷さばき施設で開かれる。
ヒラメのフライ150食のほか、相馬沖で水揚げされた天然トラフグ「福とら」のから揚げや鍋各250食を無料で振る舞う。2部制で、午前11時と正午から整理券を配布する。