復讐計画漂う緊迫感 川瀬七緒著「詐欺師と詐欺師」

 
中央公論新社 1925円

 【書評】著者の川瀬七緒さん(白河市出身)は、江戸川乱歩賞を受賞したミステリー作家だが、基本的に青春小説の書き手だと思っていた。好きな作品の主人公が人生を模索する若者で、舞台が著者の故郷、白河市を思わせる地方の街だった点も、懐かしさを醸し出していたからだ。

 だが、この書き下ろしの最新作は、そんな思い込みを一喝するダークなミステリーである。

 主人公の藍は海外で大仕事をこなし帰国した詐欺師。両親の仇(かたき)を捜していると言うみちると出会い、その復讐(ふくしゅう)に手を貸すことになる。しかし標的である巨大企業の筆頭株主は、姿を一切現さず所在さえつかめない。

 わずかな情報の糸をたぐる前半は、冷静なプロと若い相棒との掛け合いが微笑(ほほえ)ましいが、後半は空気が一変する。サイコな味付けもあり、狩る側が狩られる側へと逆転するような緊迫感にひりひりする。一体誰が敵で、悪党は誰なのか...。読者は迷路を進むしかない。