YMO楽曲作詞、発音指導 ピーター・バラカンさん、曲作り秘話

 
YMOのメンバーとのエピソードなどを語るピーター・バラカンさん

 ふくしまFMで放送中の音楽番組「ナカヤマアキヒコのROCK愛好会」が、25日で放送100回を迎えた。同日の放送ではゲストに英国生まれのラジオパーソナリティーで音楽評論家のピーター・バラカンさんを迎え、進行役のナカヤマアキヒコさんと熱い音楽談義が繰り広げられた。

 バラカンさんといえばYMO(イエロー・マジック・オーケストラ。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一)との密接な関係で知られる。ここでは、番組で語りきれなかったYMOとのエピソードを中心に、バラカンさんが語る「ROCK愛好会・番外編」をお届けする。(聞き手・佐藤掌)

 坂本龍一の音作り

 ―ロンドンで日本語を学び、その後来日された。YMOに関わったきっかけは。
 「親しくしていたレコード店の店長から『友達がレコードを作るんだけど、その中に英語の歌詞が出てくる曲があるので(翻訳を)手伝ってもらえないか』と頼まれた。その友達というのが坂本龍一でした。その後、お互いに別の用事で同じ時期にロンドンに行く機会があり、飛行機の中で初めて(坂本と)会った。後に、YMOの事務所に勤めることになったが、当初は楽曲の著作権に関する業務を担当する予定でした」

 ―しかし、実際はYMOの作詞(訳詞)を手掛けることになったと。
 「ちょうど僕が入った時期に、YMOの3人は自分たちで作った詞を英語で歌いたいと思っていた。そのためには彼らの詞を翻訳する人材が必要だったんです。僕は作詞家志望じゃなかったんだけどね」

 ―3人の音作りへのこだわりは相当だったのでは。
 「ドラムの音を決めるだけで1日かかることもあった。教授(坂本)はプロフェット5という当時のシンセサイザーの名器を使っていましたが、教授が作る音は本当に独特で、彼にしか生み出せない音だと思った」

 ―制作中の印象的なエピソードは。
 「最後の(アルバム)『サーヴィス』を作る時は、スケジュールが大変だった。最後の最後まで歌詞ができてなくて。『PERSPECTIVE』という曲だったかな、スタジオでミックスしているのに歌詞ができてない。教授が書いた日本語の歌詞が僕のところに届き、仮ミックスをカセットで聴きながら僕が英訳して、できたものをスタジオに持ち込み、歌を入れる。英語の歌詞は符割りに合わせなきゃいけないし、もちろん意味が通らなければいけない。おまけに英語の発音指導もしなければならない。とんでもない作業でしたよ」

 ―音楽番組やフェスの開催など多方面で活躍されていますが、今後の活動予定は。
 「『ライブマジック』(自身が監修する音楽フェスティバル)は10周年になります。ラインアップも決まりつつあります。もう一つは(自身が監修と作品選定を務める)『音楽映画祭』。4回目になりますが、今年もバラエティーに富んだ面白いラインアップになりそう」

 ―福島でもバラカンさんのフェスやイベントが見たい。
 「僕の『出前DJ』は、呼ばれたらどこでも行きますよ!」

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 【ナカヤマアキヒコのROCK愛好会】毎週土曜夜9時~同9時55分。ロックジャーナリストのナカヤマアキヒコさんが、毎回テーマに合わせて選曲した往年のロックの名曲を紹介する。

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 ピーター・バラカン 1951年ロンドン生まれ。73年ロンドン大学日本語学科卒業、74年来日。80~86年、イエロー・マジック・オーケストラ、後に個々のメンバーの海外コーディネーションを担当。86年に独立。以後、放送番組の制作、出演を中心に活動。2022年、音楽、テレビ、ラジオを通じ国際社会と日本の架け橋となった功績として、21年度NHK放送文化賞を受賞。現在はNHKFM「ウィークエンド・サンシャイン」、InterFM「バラカン・ビート」などに出演中。