川俣町長に新人・佐藤金正氏 3新人破り初当選、復興へ意欲

 
初当選を果たし、支持者と万歳する佐藤氏(左から2人目)

 古川道郎前町長の辞職に伴う川俣町長選は26日投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で農業の佐藤金正氏(68)が、団体役員の藤原一二氏(70)、会社員の高橋道弘氏(64)、アパート経営の半沢清義氏(73)の新人3氏を破り、初当選を果たした。任期は26日から4年。

 最多だった1971(昭和46)年4月の町長選以来、46年ぶりに4氏が立候補し、激しい選挙戦を繰り広げた。

 佐藤氏は県議4期などを務めた政治経験をアピール。また、東京電力福島第1原発事故で避難区域となった同町山木屋地区の避難指示解除が3月31日に迫る中、町再生に向けた復興策の強化や少子高齢化や介護、福祉の各施策に重点的に取り組む姿勢を示し、選挙戦を戦った。

 投票率は70.39%で、過去最低だった前回2014年11月の町長選の56.48%より、13.91ポイント上回った。4候補とも新人で、町議補選も同日程で行われたことから、町民の関心は前回より高かった。当日有権者数は1万2252人(男性6065人、女性6187人)。

 佐藤氏への当選証書交付式は27日、町役場で行われる。

 県議時代の組織が土台 政治経験前面に

 「県や国とのパイプを生かした実行力」を掲げた新人の佐藤金正氏(68)が激戦を制した。東京電力福島第1原発事故後に急激に進んだ少子高齢化対策や町の再生に向け、即効性のある施策展開を求める町民が佐藤氏の手腕に期待し、票につながった。

 古川道郎前町長が病気療養を理由に1月に辞職を表明。古川前町長が後継指名しない中での短期決戦だったが、佐藤氏は県議時代に築いた後援会組織を土台に手堅い選挙戦を展開した。

 県議に4期連続当選し、県議選では町内から6000票近く獲得していたが、町長選は厳しい戦いを強いられた。「守りの選挙」と評する人もいた。しかし、最終的には26年の政治経験をアピールし続けた佐藤氏に支持が集まった。

 藤原一二氏(70)は町収入役や養護老人ホーム施設長を務めた経験を強調したが、出馬表明から3週間という短期での準備不足が響いた。高橋道弘氏(64)は町議3期を務めた経験を基にした政策力をアピールし、草の根運動で支持を訴えたが届かなかった。半沢清義氏(73)は高齢者を対象に町内と福島市を結ぶバス料金の無料化などを訴えたが、支持は広がらなかった。

 今回の町長選は、4候補に対する町議の支持が分散するなど、支持層が入り乱れる戦いとなった。一方、町再生に向けた喫緊の課題に取り組むために残された時間は多くはない。「町民総参加のまちづくり」を掲げる佐藤氏の手腕が問われる。

◇川俣町長選開票結果(選管最終)
当3,587 佐藤 金正 68 無新
 2,636 藤原 一二 70 無新
 2,181 高橋 道弘 64 無新
   142 半沢 清義 73 無新