いわき市長選再選・清水敏男氏に聞く 経験・人脈生かし2期目

 
笑顔で抱負を語る清水氏

 10日に投開票が行われたいわき市長選で再選を果たした清水敏男氏(54)は、福島民友新聞社のインタビューに応じ、1期4年で進めてきた東日本大震災の津波被災地の復興とともに「医(医療)・職(雇用)・住(くらし)」の重点施策の深化へ意欲を見せた。市民から再び市政のかじ取り役を任せられた清水氏に抱負を聞いた。(聞き手・編集局長 菊池克彦)

 ―2期目の抱負を。
 「(再び市長に選ばれたのは)しっかりと地に足を着け、いわきの復興を成し遂げてほしいという市民の期待の表れだと考えている。4年間の経験と培ってきた人脈を生かし、いわきを魅力的なまちにしていく」

 ―次の4年間は本県の「復興創生」期間に当たる。
 「初当選した日に2020年東京五輪・パラリンピックの開催が決まった。表面に市長選、裏面には五輪の開催地決定が掲載された新聞の号外を見た時、『いわきの復興を2020年までに成し遂げる』と誓った。小名浜のベイエリアやマリンブリッジが完成し、イオンモールの建設が進む。総合磐城共立病院も来年12月の開院に向けて建設中であり、震災前にはなかった新しい動きが目に見える形で進んでいる」

 ―選挙では、医師不足など医療問題への市民の関心が高かった。
 「震災でさらに厳しい状況に陥った医師不足を解消するため、いわきから医大に進学した学生向けの奨学金制度などを充実させている。5~6年後にはいわきに戻ってきてくれるだろう。また市民の命のとりでとなるよう共立病院を充実させていく。市の『地域医療を守り育てる基本条例』などに基づき、民間病院も交え、いわきの地域医療のあるべき姿を深掘りしていきたい」

 ―人口減少を見据えた対策をどう考えているか。
 「持続可能なまちをつくり上げる。4月に打ち出した奨学金返還支援事業の反響が大きい。いわきで生まれ育ち、市外に出て行った若い人が、いわきに戻り定着できるような環境づくりを進めたい」

 ―風評払拭(ふっしょく)や廃炉の問題についての考えを。
 「風評払拭は、国が責任を持って取り組むことが基本だ。廃炉については第1原発で方針が出されている一方で、第2原発はまだだ。市としても国や東京電力に強く申し入れしていく。汚染水の問題も、漁業者と話し合いながら合意の上で解決策を見つけてほしい」

 ―地域活性化をどう進めていくか。
 「津波で被災した小名浜の親水空間は復興のシンボルエリア。視察などで多くの人に来てほしい。平を中心とした市街地活性化も非常に大事で、平城跡を公有地化し、魅力ある城跡公園を整備する。市の南部、北部は最先端の企業や働く場をしっかり整えることで振興を図る。中山間地にはコンパクトな街を形成する」

 ―最後に、いわきで活動するいわきFCについて聞きたい。
 「いわきFCには大いに期待している。合併前の14市町村の垣根を越えた市民のサッカーチームとして、みんなで応援しようという共感が得られる。(プロ野球の)広島のような(地元に愛される)チームになればいい。スポーツで地域発展につなげていくのは分かりやすい。サッカースタジアムの建設については『駅から歩いて行ける場所』が条件であり、これから話し合いながら模索していく」