浪江町長に新人・吉田数博氏 故馬場氏の町政継承を掲げ初当選

 
初当選を果たし、支援者と万歳する吉田氏(左から2人目)

 故馬場有前町長の辞職に伴う浪江町長選は5日、投開票が行われ、前町議会議長の吉田数博氏(72)が、団体役員の吉沢正巳氏(64)との無所属新人同士の一騎打ちを3949票差で制し、初当選を果たした。吉田氏の任期は5日から4年。

 町長選は東京電力福島第1原発事故後3度目で、一部地域を除き避難指示が昨年3月末に解除されてからは初めて。帰還を後押しする取り組みや町内の生活環境の改善、避難生活を続ける町民の支援など復興施策が争点となった。

 吉田氏は故馬場氏の町政継承を掲げ、町内の買い物環境の整備などの住民の帰還促進策や被災町民の生活再建策、産業再生や雇用創出などの政策を訴えた。

 当日有権者数は1万5417人(男性7464人、女性7953人)。投票率は43.08%で、前回選挙戦の2015(平成27)年より12.97ポイント低く、過去最低だった。吉田氏への当選証書付与式は6日、町役場で行われる。

 町再生へ「まちのこし」継承

 新人同士の一騎打ちとなった浪江町長選は、故馬場有前町長が掲げた「まちのこし」の継承と、町民の生活再建や町の再生・復興などを訴えた吉田数博氏が制した。

 吉田氏は町内の自宅に選挙事務所を構え、町民が多く避難するいわき、福島、南相馬各市などを重点的に遊説。町議6期21年の実績などを訴え、支持を拡大した。町議15人の大半が支援に回ったことも票固めにつながった。

 吉沢正巳氏は震災・原発事故後、反原発を訴え、高い知名度を誇った。遊説や少人数の有権者との討論を繰り返し、政策の浸透を図ったが、及ばなかった。

 一部地域を除く避難指示解除から1年4カ月が経過し、町民の9割はいまだ町外で避難生活を送る。町の復興や町民の帰還促進、避難町民の絆の維持など、豊富な政治経験を持つ吉田氏の手腕が問われる。

◇浪江町長選開票結果 (選管最終、敬称略)
当5,231 吉田 数博 72 無新
 1,282 吉沢 正巳 64 無新