会津若松市長選・3選の室井照平氏に聞く 地方創生、オール会津

 
「地方創生を次のステージに進めたい」と語る室井氏

 4日に投開票が行われた会津若松市長選で、3選を果たした現職の室井照平氏(63)は、地方創生の取り組みをさらに推進させる考えを示し、観光、農業など産業振興に意欲を見せた。市民から市政の「かじ取り役」を託された室井氏に抱負などを聞いた。(聞き手・執行役員編集局長 小野広司)

 ―8年ぶりの選挙戦を制した。3期目への抱負を。

 「選挙カーで市内をくまなく巡り、やはり現場を大切にしなければならないと改めて思った。市民目線を大切にしたいと思っている。これまで少子高齢化を乗り越えるための地方創生、地域活力の再生に取り組んできた。成果は形となって表れてきている。既に1700人ほどの雇用が生まれており、さらに500人が採用されることが決まっている。工業振興計画を策定、地元のものづくり企業との連携や支援体制も強化する」

 ―次の4年間で力を入れる政策は。

 「地方創生を次のステージに進めたい。それに向けて計画を今年策定する。自信を持って流れを進めていくことが、会津若松にとって必要だ。お年寄りには安心、若者に雇用、子どもたちに夢や希望を与えられるまちづくりを進める」

 ―若者の地元定着は少子高齢化対策としても急務だ。

 「高校新規卒業生の地元留保率が6割を超えるまで戻ってきている。若者に地元企業を紹介する機会を積極的につくり、会津で働くことが夢や目標になるようにしたい。若者が定着すれば結婚や出産、結果として出生数の増加につながる」

 ―人材育成には子育て、教育環境の充実も欠かせない。

 「放課後に家庭で保育することができない小学生を預かる『こどもクラブ』を必要に応じて増設し、6年生までの受け入れを実施している。待機児童ゼロは既に実現している。10月からの保育無償化の影響を懸念する声もあるが、待機児童ゼロは継続できると考えている。県立会津総合病院の跡地を利用した子どもの遊び場づくりも進めていく」

 ―市庁舎整備などまちの拠点整備と財政負担が指摘された。

 「駅前整備、病院跡地の利活用には拠点整備に向けた基金を活用する。財源をやりくりする中で、財政負担に配慮しながら進める。市庁舎整備は、建設規模や建設費用の縮小も視野に入れながら着実に進める」

 ―基幹産業の観光に施策要望が強い。誘客の取り組みは。

 「宿泊の拡充、広域観光などに注力する。繁忙期ではない閑散期、特に冬や平日に観光客が来てもらえるような企画、商品づくりに協力していきたい。それが旅館、ホテルの安定した経営、雇用につながると考えている」

 ―会津の農業はコメから野菜まで幅広い。振興策は。

 「JAと行政との関わりが深くなり、共同で大阪や東京でのトップセールスを展開している。園芸作物の振興に向けた初期投資の補助も前向きに検討していく」

 ―スマートシティーの実現に取り組んできた。

 「タブレット端末を使ったオンライン診療が今年から始まるなど、利便性向上への新しい取り組みも始まった。情報通信技術(ICT)は、医療や観光、農業などの分野で効率を良くする道具だと思っている。活用を進めていく」

 ―会津若松市長は会津地方全体のリーダーでもある。

 「オール会津で、少子高齢化、人口減少などの課題に立ち向かい、地方創生に取り組んでいく」