福島県議選「非常事態だからこそ1票」 県下一斉投票呼び掛け

 
投票を呼び掛ける小野寺さん(左)。「1票が地域の力になる」と話す=3日午後2時30分ごろ、須賀川市・ヨークベニマル須賀川森宿店前

 10日投開票の県議選で、県選管などは3日、投票を呼び掛ける県下一斉街頭啓発を行った。台風などの被害の爪痕が残る中、有権者の中には選挙どころではないという声もあるが、選管関係者は「被災者にもそれぞれ要望や願いがある。それをかなえるのが選挙。状況を打破するためにも1票を投じてほしい」と訴える。

 「10日は投票日です。皆さんよろしくお願いします」。須賀川市では、市内3カ所の商業施設で実施。このうちヨークベニマル須賀川森宿店前では、市選管職員や牡丹キャンペーンクルーの小野寺里佳子さん(25)らが啓発グッズを配り、有権者に投票を促した。小野寺さんは「1票が地域の力になる。こんな時だからこそ、有権者には災害にも対応できる候補者をそれぞれ選んでほしい」と活動への思いを口にした。

 被災者からは「自宅の復旧や日々の生活で精いっぱい」との声も聞かれ、投票率の低下が懸念される同市。市選管によると、被災者の心情に配慮し選挙広報車による投票の呼び掛けは行っておらず、車両は災害対応に回している。小野寺さんから啓発グッズを受け取った同市の女性(76)は「周囲には選挙どころではない人もいる」と被災者の気持ちに理解を示した上で「非常事態だからこそ物申したい。投票しなければ文句も言えない」と政治参加への意思を語った。

 台風19号のほか10月25日から26日にかけての大雨で甚大な被害を受けた相馬市では3日、県議選に加えて市議選も告示された。二つの選挙で、市内では多くの選挙カーが行き交い災害対応などを訴えるが、有権者の受け止めもさまざまだ。

 住宅が被害を受けた女性(70)は「多くの人がまだ片付けを進めている最中。投票にはもちろん行くが、選挙を遅らせる判断があっても良かったのではないか」と口にする。一方で被害があったからこそ選挙が重要という声も。会社員、男性(38)は「やるべき人がやるべきことをやれば復興は進む。政治家の役割も重要」と提言した。