風評対策「不十分」3割超 県議選立候補者アンケート(下)

 

 福島民友新聞社は県議選に立候補した75人(無投票当選者15人を含む)を対象にしたアンケートで、県の行っている東京電力福島第1原発事故に伴った風評対策や情報発信の取り組みの評価を聞いた。選択方式の回答で「十分ではない」が3割超の24人に上り、「十分である」の14人を上回った。「どちらとも言えない」が約半数の37人。農林水産物や観光を中心に風評が根強い中、正確な情報発信とともに対策の強化を求める意見が多かった。

 「十分ではない」理由として回復に至っていない教育旅行に触れ「震災前の姿に戻っておらず、対応が必要」と指摘したほか、「やってはいるが、効果がもっと欲しい」と成果の上積みを求める意見があった。その成果に関しては「国と連動して他県に直接働き掛ける必要がある」や「単に福島の魅力を発信するだけでなく新たな福島のイメージづくりが重要だ」との提案も。「十分である」は「県内外に情報をきめ細かく発信している」との考えだった。

 最も多かった「どちらとも言えない」を選んだ理由については「根拠に乏しい風評がSNS(会員制交流サイト)に見られる」「成果が出ているものと、出ていないものとがある」など。県の事業を一定程度評価しながらも「目指すべき成果を明確にした大胆な取り組みが必要」と改善を求めたり、「粘り強く対応を続けなければならない」との回答が寄せられた。

 また外国人の宿泊者数が前年と比較して高い伸び率をみせる中、「東京五輪を控え、さらなる取り組みが必要」との意見もあった。

 ◆人口減対策 子育て環境を整備

 本県が直面している重要課題の一つである人口減少に対する考えを聞いたところ、多くの候補者が「子育てしやすい環境の整備」を対策として挙げた。主な回答は「定住・二地域居住政策の推進」「若い世代を中心にした雇用の場の確保」「教育負担の軽減」など。ほかには「47都道府県の中で最も子育てしやすい県にしていく」「魅力ある地域づくりによる交流人口の拡大」があった。

 ◆定数「適正」7割超 「減らす」15人

 県議選立候補者に対する福島民友新聞社のアンケートでは、県議会の現行の議員定数58が適正かどうかも尋ねた。候補者75人のうち、全体の7割以上に当たる55人が「適正」と回答し、「減らすべきだ」が15人、「増やすべきだ」が2人だった。いずれにも丸を付けなかった候補者が3人いた。

 「適正」の理由は「地域と将来の課題に対応するためには一定数が必要」「広い選挙区を考えれば現状維持」「人口は減少しているが、議員を減らせば住民のニーズに応えられない」などで、広い県土を有する本県において県民の声を県政に反映させるためには現行定数が「妥当である」との考えが多数を占めた。

 ただ「適正」としながらも「人口減少や都市部への人口集中が進めば増減が必要」「広い選挙区ほど課題はさまざま。課題が散在している選挙区に合った定数を」との指摘もあった。

 「減らす」と答えた候補者は「人口減少社会を迎え、人口に応じた定数を」「被災地域の在り方も含め考えなくてはならない」などの理由を挙げ、「(本県には)七つの生活圏があるため49人が適正」と具体的な議員定数に触れた候補者もいた。ほかの理由は「議員定数を減らすか議員報酬を減らすかのいずれか」「さまざまな権限が委譲されている中核市の定数は減らすべきではないか」「1人区の見直しが必要」などだった。

 丸を付けなかった候補者は「才能ある人材が集まる環境を実現できる定数が望ましい」などとした。

 ◆県政「評価する」8割弱

 2期目に入り1年がたつ内堀雅雄知事の県政運営について、全体の8割弱に当たる58人が「評価する」と答え、その取り組みを好意的に捉えた。「評価しない」は9人、「どちらとも言えない」は8人だった。

 「評価する」と回答した候補者は「県民の声を県政に生かしている」「トップセールスなど復興の先頭に立った行動」「現状を分析して決断している」など県民との対話を重視しながら現場主義を貫いている点を評価基準に挙げた。一方で「評価しない」理由は「復興の具体策に欠けている」「大型開発を優先した予算の使い方」などだった。「どちらとも言えない」では「政府や東電への責任追及が弱腰に見える」「独創的な県政に期待したい」との意見があった。