須賀川市長4選・橋本克也氏に聞く 台風、コロナを乗り越える

 
「市民と『新しい生活様式』を共有して難局を乗り越えたい」と語る橋本氏

 賀川市長選で4選を果たした橋本克也氏(57)は東日本台風を受けた防災・減災対策や新型コロナウイルスの感染拡大防止対策に重点的に取り組む考えを示した。(聞き手・執行役員編集局長 小野広司)

 ―3期目の総括と4期目の抱負を。
 「市民との協働のまちづくりを掲げ、単なる震災からの復興ではなく、発展的復興を目指そうと呼び掛けて進んできた。まちづくりの主役は市民であり、行政はサポート役。震災10年目。暗中模索だったが、自分なりに一定の成果を感じている。3期目の終わりが近づく中、東日本台風と新型コロナが発生し、乗り越えていくために続投を決意した。野球で例えると3期目で完投勝利としたかったが、延長十回のマウンドに立つような気持ちだ。『新しい生活様式』を市民と共有しながら、この難局を乗り越えたい」

 ―東日本台風で大きな被害を受けた。今後の防災・減災対策の考えを聞きたい。
 「高齢者2人が亡くなったことを深刻に受け止めている。国の緊急治水対策プロジェクトに期待するが、ハード面の整備だけでは足りない。避難の呼び掛けなど市のソフト面の対応にも限界がある。災害時には町内会など地域社会での共助が重要だ。顔を知った関係性を築くことが命を救うことにつながる。個人情報の壁もあるが、それでは命を守ることはできない」

 ―新型コロナは地域経済の回復や医療体制の整備など対策が急務となっている。その取り組みは。
 「事業者が存続していなければ地域経済のV字回復は見込めない。国や県の対応には時間差や隙間がある。事業者を守るため家賃補助など市独自の支援策を進めてきた。県境をまたぐ移動自粛が解除され、人の往来が再開した。再び感染者が出るという前提で考えることが必要だ。感染症対策として、感染者や感染の疑いのある人が訪れる『発熱外来』を設置して検査態勢を整える。濃厚接触者を含めある程度の範囲で感染の有無を確認できるので、以前と違った対応を取ることができるようになる」

 ―社会問題となっている人口減少、少子高齢化への対応は。
 「広域的問題と捉え、交流人口や、イベントなどで須賀川と関係する『関係人口』の拡大で地域経済の活力を得る方策を模索したい。観光を含め、文化をどう発信するかという課題と合わせて取り組んでいく」

 ―須賀川には誇るべき歴史や文化がある。他地域がうらやむほどだ。これらをまちづくりにどう生かしていくか。
 「長年、市民が文化を育んできた歴史がある。市民が構想段階から携わった市民交流センター『テッテ』はその象徴的な施設といえる。文化交流拠点『風流のはじめ館』と、特撮技術の保存と継承に向けた『須賀川特撮アーカイブセンター』が今秋開館する。世界に特筆すべき特撮監督である円谷英二の出身地であり、江戸時代から脈々と続く俳句文化がある。まちづくりに必要なのは市民が文化を培ってきたという誇りと自信だ。施設の回遊性を高め、市民文化と一体となったまちづくりを進めたい」