【いわき市議選・戦いの跡】手堅い組織力の現職 関心高まらず

 

 13日に投開票が行われたいわき市議選では、東日本大震災、原発事故からの復興や市勢伸展を担う新議員37人が選ばれた。立候補した現職のうち28人が当選。新型コロナウイルス感染症が選挙戦に影響を与える中、地盤と組織を固めている現職が手堅く勝利した選挙となった。一方で投票率は44.77%と振るわず、有権者の関心は高まらなかった。

 現職29人、元職2人、新人10人の計41人が立候補した。自民は21人が当選。そのうち清水敏男市長とは一定の距離を保つ第1会派は11人全員が当選。清水市長に近い会派の現職6人や新人も当選した。今後は市政運営に影響する会派構成や正副議長など議会人事が焦点となる。

 トップ当選は共産の元職高橋明子氏で4784票。共産は今期で勇退した現職3人の票を2候補者に集め、堅実な戦いを見せた。公明党は現職4人全員が当選。社民も現職、元職の2人が手堅く集票した。合流する立憲、国民からはそれぞれ1人が当選した。無所属は6人。当選ラインは前回を下回る1700票台だった。

 地区別でみると、平11人、小名浜7人、勿来6人、常磐5人、内郷3人、四倉2人、好間、三和、久之浜・大久の各地区がそれぞれ1人。

 各候補が震災、原発事故からの復興や将来のビジョンなどを訴えたが明確な争点は見えず、投票率は過去最低を更新した。あと約半年で震災から10年の節目を迎える中、感染症という新たな危機にも直面している。新議員は有権者の負託に応え、課題解決に尽力する姿勢を市民に向け示してほしい。

 投票率は過去最低44.77% 最高は三和72%、川前66%

 市議選の投票率は、過去最低だった2016(平成28)年の前回の46.66%を1.89ポイント下回った。7~12日に行われた期日前投票の投票者数は3万7636人で、前回を2333人上回り、制度の周知は図られているとみられたが、投票率アップにはつながらなかった。

 遠野地区を除く全地区で前回を下回った。最も高かったのは三和の72.12%で、66.43%の川前が続いた。そのほか6割を超えたのは、遠野、田人、久之浜・大久地区。小名浜は40.06%で、前回同様最も低かった。

 開票確定は13日午後11時9分で、当初の見込みより約20分早まった。市選管は「順調に作業を進められた結果」としている。