新人・杉岡氏が無投票「初当選」 飯舘村長選、県内最年少44歳

 
初当選を果たし支持者と万歳する杉岡氏(中央)

 任期満了に伴う飯舘村長選が10日告示され、新人で元村職員の杉岡誠氏(44)=無所属=のほかに立候補の届け出がなく、無投票で初当選を果たした。

 杉岡氏は、東日本大震災から10年目を迎えた村の復興に向け、基幹産業である農業、商工業の再生と発展を目指す。

 村で唯一、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域となっている長泥地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)では、2023年春の避難指示解除を目指し、除染とインフラ整備が一体的に進められている。今後の方針が示されていない復興拠点外の整備のほか、営農再開や子育て世代の移住定住、生活環境の改善など山積する課題に取り組む。

 当選証書付与式は19日午前9時から村役場で行われる。任期は27日から4年。

 分断回避...2人「不出馬」

 6期務めた現職菅野典雄氏が引退を表明し、告示前までに計3人が名乗りを上げた飯舘村長選。選挙戦が濃厚とみられたが「分断を生むべきではない」と2人が立候補を取りやめ、杉岡誠氏が無投票で当選した。

 帰還困難区域の長泥地区にある復興拠点外の方向性について、菅野氏は拠点外に復興公園を整備することで地区全体の避難指示解除を目指す考えを示した。国も放射線量が年間20ミリシーベルトを下回れば、全面的な除染がなくても地元の意向に応じ解除できる仕組みを検討している。選挙戦がなく争点にならなかったこれについて杉岡氏は「住民の声を聞いた上で見定めていきたい」としており、方向性をどう示していくかが注目だ。村の行方を左右する震災10年目に誕生した"ニューリーダー"の手腕が問われる。