葛尾村長に現職・篠木弘氏「再選」 8年ぶり選挙戦、新人破る

 
再選を果たし、支持者らと万歳する篠木氏(中央)

 任期満了に伴う葛尾村長選は25日、投票が行われ、即日開票の結果、いずれも無所属で現職の篠木弘氏(69)=1期=が、新人のIT広告会社経営高橋翔氏(32)を765票差で破り、再選を果たした。任期は11月12日から4年。

 選挙戦は2012(平成24)年以来、8年ぶりとなった。村民の帰還促進と定住人口の拡大が課題となる中、篠木氏は1期目の実績を基に、基幹産業の農畜産業の再生や企業誘致による雇用の確保、県道浪江三春線の改良・整備などの復興に向けた公約を訴え、幅広い支持を集めた。

 投票率は70.20%で、12年の村長選を23.16ポイント下回り、過去最低となった。当日有権者数は1208人(男性638人、女性570人)。

 当選証書付与式は26日午前10時から村役場で行われる。

 帰還の環境整備推進

 原発事故で葛尾村の大部分に出されていた避難指示が2016年6月に解除されてから初の選挙戦は、村民帰還に向けた環境整備を着実に進めてきた現職の篠木弘氏が大差で制した。

 篠木氏は村内のほか、多くの住民が避難する三春町の復興公営住宅を訪れ、現職の知名度も生かしながらふるさと復興に向けた公約を訴えた。独自の子育て支援策など1期目の実績が評価され、支持を広げた。
 高橋翔氏はインターネットを活用し、航空・宇宙分野の新産業創出などを訴えた。若年層を中心に票の掘り起こしを図ったが、及ばなかった。

 村内では学校や医療機関などが再開したが、村民の帰還はいまだ3割未満にとどまる。帰還困難区域の野行地区は約95ヘクタールが特定復興再生拠点区域(復興拠点)に計画され、22年春の解除を目指している。復興に向け、移住定住・交流人口の拡大が急務となる中、篠木村政は正念場の4年間となる。

◇葛尾村長選開票結果(選管最終、敬称略)
当802 篠木  弘 69 無現
  37 高橋  翔 32 無新