全町避難に加えコロナ自粛「選挙低調」 双葉町議選・戦いの跡

 
双葉町いわき事務所で行われた開票作業=24日夜、いわき市

 東京電力福島第1原発事故に伴う全町避難に加え、新型コロナウイルス感染症の第3波の真っただ中で行われた双葉町議選。定数8に対し現職5人、新人4人の計9人が立候補、8年ぶりの選挙戦に関心の高まりも期待された。しかし、投票率は過去最低の47.13%と低調なまま終わった。

 告示前日の13日、県が新型コロナの緊急対策を県民に要請。県民に不要不急の外出自粛が呼び掛けられ、候補者からは「町民と会っていいものか」「県外避難者の所に行くのは難しい」と悩みの声が聞かれた。

 異例の選挙戦で各候補者は電話や選挙はがき、会員制交流サイト(SNS)などを駆使して支持を呼び掛けた。避難指示の一部が先行解除された双葉町内で街頭演説する候補者もいた。

 それでも、候補者の政策を知ったのは「選挙公報のみ」という町民も多い。「原発事故後、町議の活動が見えにくい」とかねてからの課題を指摘する声もある。

 新議員の任期は、2022年春が目標の帰町があるなど重要な時期となる。全町避難や新型コロナを理由に町民と議会との距離がますます離れることがないよう、新議員には町民に届く活発な議論を期待したい。