4市中心に大幅再編か 衆院選・定数、福島県小選挙区「1減」

 

 衆院小選挙区を巡り、総務省が本県の定数を5から1減の4となる国勢調査速報値を示したことで今後、区割り改定に向けた議論が本格化する。

 福島大行政政策学類元教授で地方自治総合研究所主任研究員の今井照氏(68)=地方自治=は「郡の単位など、今までの生活圏や歴史的なくくりを大事にしてほしい」と求める。

 小選挙区制導入時には、浜通りの分割などを巡る議論が巻き起こった。15年の前回調査を基にした選挙区見直しでは、それまで福島3区だった西郷村が4区に編入され、西白河郡が分断された。

 定数が削減される今回、今井氏は「かなり大胆に仕組みを変えなければならないのではないか」とみる。

 具体的な区割りについて、今井氏は「4市(福島、会津若松、郡山、いわき)を中心に、人口が均衡するように整理していくのでは」と想定。「あまり極端に変わるのも、選挙制度としてはよくない」との見解も示し「4市を中心に考えた場合、(3区を構成する)県南をどこかで区分しなければならない」とした。3区は2、4、5各区と隣接しているほか、西郷村の編入という「前例」がある。3区と唯一接していない1区は現状を維持しても定数4となった場合の議員1人当たりの人口(45万5026人)を超えている。

 一方、県の地方振興局別にみると、福島市を含む県北が46万6080人、郡山市を含む県中が51万9880人と定数4となった場合の議員1人当たりの人口を超える一方、他の振興局管内は満たない。仮に浜通りのいわきと相双を合わせると45万2816人、残る会津、南会津、県南の合計は39万5422人となり、どの選挙区も人口最少選挙区である鳥取2区(27万4160人)との「1票の格差」は2倍未満となる。

 ただ、今井氏は「原発事故以後の国勢調査が、本県の実態を反映していると言えるのか」と疑問を呈す。「今回の速報値は改めて東京一極集中を示した。47都道府県がある中で首都圏に偏った政治でいいのか、選挙制度について議論する必要がある」と問題提起した。