「衆院選」準備本格化 福島県内各党、任期満了まで3カ月

 

 今秋までに行われる次期衆院選に向けた県内各党の動きが本格化してきた。県内5小選挙区に現職5人が立候補を予定する自民に対し、立憲民主は現職3人、新人2人を立て、全選挙区で自民と立憲民主が激突する構図。だが2、5区には共産も新人2人の擁立を決めており、野党共闘に向けた候補者調整が今後の焦点だ。任期満了まで21日で3カ月に迫る中、県内各党の今を追う。

 自民、全勝へ全力

 「これからも政策本位の政治を貫いていく」。17日、郡山市で開かれた自民党福島2区支部の総会で、県連会長の根本匠は声を張った。根本は新型コロナウイルス感染症への対応や東日本台風、本県沖地震からの復興など政権与党として進めてきた実績を強調する一方、東京五輪やワクチン接種への対応を巡って厳しい風が吹いていることにも言及し「緊張感を持って(選挙戦に)臨んでいきたい」と語った。

 自民は今月下旬から8月上旬にかけ、県内各小選挙区支部で選対本部設立に向けた準備を加速させる。前回は2選挙区で敗北しており、県連幹事長の渡辺義信は「有機的に連携しながら各支部で盤石な体制を構築し、全選挙区で確実に勝利できるよう全力を尽くす」と力を込める。

 小選挙区に候補者を立てない公明は、連立政権を組む自民候補を支援しながら、比例東北での2議席獲得に向けて比例で11万票を目標に掲げる。県本部幹事長の伊藤達也は「自民との協力関係、信頼関係は深まっている」と手応えを示し、飲食業や宿泊業への支援、雇用の維持などコロナ後に向けた経済対策を訴える。

 立民、極力一本化

 2区への新人擁立が決まり、全選挙区の候補者が出そろった立憲民主。県連代表の金子恵美は、福島市で17日に開かれた1区総支部常任幹事会後、報道陣に「党の取り組みが浸透していない。各地の情勢は厳しい」と明かした。選挙戦で現職がこれまでの実績を訴える一方、新人2人は会員制交流サイト(SNS)などを駆使し、若年層の取り込みを図る方針だ。

 新型コロナ対策や処理水の処分方針を争点に見据えるが、新人が自民現職と相対するには野党共闘が不可欠だ。共産と競合する2、5区について県連幹事長の亀岡義尚は「極力一本化を目指す」としつつ、最終的には党本部での調整を想定。解散後の決定も視野に「ぎりぎりまで党勢拡大を図る」と選挙戦までの構想を描く。

 共産、決断求める

 新型コロナ対応と処理水の海洋放出方針撤回を「2本柱」と位置付ける共産。県委員長の町田和史は「共闘の質を高める必要がある」と強調する。1、3、4区は擁立を見送っただけに、立憲民主と競合する2選挙区では「こちらが統一候補と思われる活動をする。政権交代に向け、腹をくくってほしい」と決断を求める。

 社民、国民民主両県連は、立憲民主と共産による調整の行方を見守る考えだ。社民県連代表の狩野光昭は「一本化に向けて努力してほしい」とした上で、比例東北への候補者擁立を模索。国民民主は比例東北に出馬する県連代表の渡部勝博が既に県内を一巡。18日の設立大会を浸透の契機と見据える。(敬称略)