楢葉町議選「戦いの跡」 投票率低調、コロナ下の訴え浸透に課題

 
当選証書を受ける宇佐見氏(左)

 8日に投開票が行われた楢葉町議選。立候補者が定数を満たさないまま無投票当選が決まった前回と異なり、定数11に対し現職10人、新人2人の計12人が立候補。8年ぶりの選挙選に関心の高まりが期待されたが、投票率は過去最低の61・87%と低調なまま終わった。

 新型コロナウイルス感染が急拡大する中、候補者の陣営からは「有権者の反応が分からない」と、出歩く人が少ない町並みを巡る遊説に苦慮する声が上がった。ある陣営は、幅広い年代に訴えの浸透を図ることが難しいと判断し、選挙戦序盤から親戚や知人らに電話で支持を訴える戦略を重視した。

 一方、有権者からは「聞こえてくるのは名前を連呼する声だけ。こうした姿勢では特に若い世代の関心を引き寄せることは難しい」と不満が漏れた。東京五輪と選挙戦の期間が重なり、40代の女性は「競技観戦に夢中になってしまい、投票所に足を運ぶのが少しおっくうだ」と話した。

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除されてから9月で6年を迎える。若い世代の人口回復など課題が山積する中、復興の推進に向け議会の役割は重要さを増している。当選した議員は選挙戦だけでは届かなかったそれぞれの政策を改めて周知し、町民との距離を縮めながら町の将来像を描いていってほしい。(ふたば支局・辺見祐介)


 新町議に当選証書

 任期満了に伴う楢葉町議選で当選した新町議11人への当選証書付与式が9日、町役場で行われた。任期は9月1日から4年。

 川嶋幹夫町選管委員長がトップ当選の宇佐見雅夫氏(65)ら一人一人に当選証書を手渡し「町の真の復興と発展のために尽力を期待している」とあいさつした。