清水、猪狩、内田氏激しく競る 宇佐美氏追う展開、いわき市長選世論調査

 

 9月5日投開票のいわき市長選で、福島民友新聞社は29、30の両日、世論調査を行い、取材で得た情報を加味して序盤の情勢を分析した。現職の清水敏男氏(58)=2期=と、いずれも新人で前常磐共同ガス社長の猪狩謙二氏(59)、元文部科学省室長の内田広之氏(49)が激しく競り合い、元衆院議員の宇佐美登氏(54)が追う展開となっている。ただ、有権者の3割弱が態度を示しておらず、情勢は流動的だ。

 調査結果を地区別にみると、内田氏が市中心部の平で優位に立ち、清水、猪狩両氏は勿来に加え、地盤の常磐で激しく競り合う。平に次いで有権者の多い小名浜は3氏が拮抗(きっこう)、宇佐美氏も浸透している。内郷は猪狩氏がリードする。

 各政党とも明確な姿勢を示していない中、支持政党別では、清水、内田、猪狩の3氏と関係が深い自民支持層の3割が清水氏を支持し、内田氏は2割強、猪狩氏は1割強だった。立憲民主の支持層は3割弱が猪狩氏で、内田、清水両氏も2割強となった。公明支持層は3割強が猪狩氏で、内田氏は2割、清水氏は2割弱。共産の支持層は4割弱が猪狩氏、2割強が宇佐美氏を支持した。無党派層は猪狩氏が2割強で他候補を上回っている。

 職業別では、清水、猪狩両氏がサラリーマンで優位に立ち、内田氏は農林水産業、宇佐美氏は専業主婦層から支持を得ている。商工自営・自由業は横並び。年代別では大きな差はみられなかった。

 「コロナ対策」最も重視 「復興」関心6割にとどまる

 市長選で重視する政策(複数回答)についても聞いた。「新型コロナウイルス感染症対策」が90.0%、「医療の充実」が89.3%に上り、県内市町村で最多の感染者数が確認されている新型コロナに関連する政策への関心度の高さを示す結果となった。

 次いで割合が高かったのが少子高齢化と若者の人口流出を背景とした「福祉・高齢化対策」の83.0%。一昨年の東日本台風など相次ぐ自然災害を受け「防災対策」が77.2%に上った。東日本大震災から10年が経過する中で「震災復興」は6割にとどまった。

 必要な資質「実行力」95%

 市長選でいわき市長として必要な資質(複数回答)についても聞いた。「実行力」が95%に上り、新型コロナウイルス感染拡大や多発する災害などで安全・安心な市民生活が脅かされる中、課題を解決する手腕が求められた格好だ。

 実行力に次いで必要とされたのが「信頼性」(91%)で、有権者は公約や掲げた政策を確実に実行する姿勢を重要視した。

 このほか「発信力」「国や県との関係」「発想力」が8割を超え、上位となった。また、「調整力」が74%、「庶民性」は67%となった。

 一方で、「行政経験」は52%、「若々しさ」や「知名度」は3割強にとどまった。

 「選挙に関心」83%

 世論調査では、市長選への関心度も聞いた。「大いにある」は36%で「多少はある」の47%と合わせて83%となった。期日前投票も含め「投票に行くか」の問いには「必ず行く」が70%、「なるべく行くつもり」が26%で合わせて96%となり、関心の高さを示した。

 支持政党が「なし」47%

 世論調査で有権者が答えた支持政党で最も多かったのは自民の31%。次いで立憲民主の6%、公明、共産の3%などとなった。一方で支持政党なしは半数近い47%に上った。

 調査の方法 告示日の29日から30日にかけて、いわき市内を対象に無作為に作成した番号に電話をかける方法で実施した。有権者在住が判明した1477世帯のうち760人から回答を得た。回答率は51.5%。