衆院選への影響注視 菅首相退陣に福島県内各党

 

 10月21日の衆院議員の任期満了まで1カ月半を残す中、菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を表明したことで、政権を担う自民党は新たなリーダーの下で次期衆院選に臨むことになった。一方、野党は前政権に続く「政権の投げ出し」と攻勢を強める構えだ。県内5小選挙区に現職、新人の計12人が立候補を予定する次期衆院選への影響を探る。
 
 自民 余波「予想しづらい」

 「どういう影響が出るのか、予想しづらい」。菅首相の総裁選不出馬表明に、自民党県連の渡辺義信幹事長は驚きを隠さなかった。

 中央の情勢が刻々と変わる中、県連内にも動揺が広がっている。菅首相が「専念したい」とした新型コロナウイルス感染症対策という難題を抱える中で迎える衆院選。ある県連幹部は「ただでさえ『コロナ禍で何をやっているんだ』という批判がある。総裁選が次につながる『政策論争』でなく『派閥の力学』で進むようであれば、自民離れが進むことになる」と危惧する。

 ただ、総選挙が目前に迫る状況は変わらない。渡辺幹事長は「どういう情勢であっても、新総裁の下、浸透を図りしっかりと戦う」と気を引き締め直した。

 連立政権を組む公明党県本部の伊藤達也幹事長は「動揺せず、党の戦い方をするだけ。自公による安定した政治を訴えていく」と強調した上で新総裁のリーダーシップに期待を込めた。

 野党 「政権投げ出し」攻勢

 「国民は自民の権力闘争をどう見ているのか。厳正な審判を期待している」。立憲民主党県連の亀岡義尚幹事長は首相就任から1年での退任に「新型コロナ対応に加え、東京電力福島第1原発の処理水について具体的な対応も示さないまま投げ出した」と批判。県内全ての小選挙区に候補者の擁立を予定する次期衆院選での躍進を思い描く。

 今回の事態について「自民党のあしき体質が露呈した」と分析。「誰が新総裁になっても風は変わってくるはず。野党として国民最優先に新型コロナ対応に当たっていく姿勢を訴えていく」と話す。共産と競合する2、5区は中央で候補者調整が行われる見通しで、全選挙区で共闘を実現させ自民と対峙(たいじ)する構えだ。

 共産党の町田和史県委員長は「誰が新総裁になっても、大きく違わないということは国民も少なからず感じている」と指摘。野党による政権像を示して選挙戦に臨む必要性を訴える。

 社民党県連の狩野光昭代表は「自民に混乱が生じている現状を踏まえても野党候補者の一本化は必須」とみる。比例東北に出馬する国民民主党県連の渡部勝博代表は「自民には出せない、大胆な政策で臨む」と意気込んだ。