託された内田新市政、いわき市長選開票当夜 4陣営悲喜こもごも

 
初当選を万歳で喜ぶ内田さん(中央)と妻葉子さん(左)

 5日に投開票が行われたいわき市長選。初当選を飾った新人の内田広之さん(49)の選挙事務所は、集まった支持者の熱気に包まれた。一方、現職の清水敏男さん(58)と新人の宇佐美登さん(54)、猪狩謙二さん(59)の支持者は7日間の戦いをねぎらった。

 内田さん「古里のため全力尽くす」

 午後7時すぎにテレビが内田さんの当選確実を伝えると、選挙事務所で準備をしていた関係者からは歓声と拍手が沸き起こり、慌ただしく当選報告会の準備に追われた。

 事務所には次々と支持者が駆け付け、一報を受けて到着した内田さんを出迎えた。吉村作治後援会長と阿部宏太郎選対本部長が「喜んでばかりはいられない。これからは公約を一つ一つ実現しなければならないので頑張ってほしい」と内田さんを激励した。これに対してあいさつに立った内田さんは「多くの課題があるが、古里のために全力で尽くしたい」と今後の市政運営に意欲を見せた。

 内田さんは関係者から花束を受け取ると笑顔を見せ、選対幹部とともに万歳三唱で当選の喜びをかみしめた。集まった支持者からは「いわきを頼んだぞ」「いわき再起動」などの声が上がった。

 清水さん「思い届けられなかった」

 「私の不徳の致すところにより当選できなかった。心から皆さまにおわびを申し上げたい」。現職の清水敏男さんは支持者らに頭を下げ、敗戦の弁を述べた。

 清水さんの事務所に新人の当選確実が伝わると、支持者から落胆のため息が漏れた。開票が始まった午後8時ごろ、異例の速さで清水さんがマイクを握った。

 清水さんは「コロナ禍で思うように選挙戦を展開できず、市民の皆さまに考えや思いが届かなかったことは悔やんでも悔やみきれない」とし、「新市長には古里いわきを守り、良い市政を貫いてほしい」と語った。

 宇佐美さん「主張はしっかり伝えた」

 3度目の市長選挑戦となった宇佐美さんの事務所には吉報が届かず、集まった多くの支持者から落胆の声が漏れた。

 宇佐美さんは午後8時20分ごろに事務所に姿を現し「私の力不足で勝ちきることができなかった」と頭を下げた。選挙戦を振り返り「新型コロナウイルス感染拡大による非常事態の中での選挙だったが、主張したいことはしっかりと主張した。皆さんと共に戦うことができて光栄だった」と感謝の言葉を述べた。

 松原基勝選対本部長は「草の根で訴え、思いは伝わった」とねぎらった。

 猪狩さん「地元のため活動続ける」

 新人の猪狩謙二さんの選挙事務所に他候補の「当選確実」が入ると、集まった支援者らは一様に肩を落とした。

 「多くの人に支えてもらったが力及ばず申し訳ない」。事務所に入った猪狩さんは、頭を下げながら課題の知名度不足をはね返せなかったと振り返った。

 悔しい結果になったが、猪狩さんは「いわきの明るい未来のために活動していきたいという思いは変わらない。地元が良い方向に向かうよう活動していく」と力を込めた。集まった支援者からは大きな拍手が湧き起こり、健闘をたたえた。