現職・立谷秀清氏が無投票6選 相馬市長選、接種モデル全国注目

 
ガッツポーズで6期目への意欲を示す立谷氏と妻礼子さん(左)=12日午後5時30分ごろ、相馬市

 任期満了に伴う相馬市長選が12日告示され、無所属で現職の立谷秀清氏(70)=5期=のほかに立候補の届け出はなく、立谷氏の無投票での6選が決まった。

 告示直前に立候補の意思を示していた郡山市の男性(33)は12日午後、動画投稿サイトで一転して立候補の取りやめを表明。福島民友新聞社の取材に「出馬意思を示した後に、市民から寄せられた意見を踏まえ、総合的に判断した」と理由を述べた。

 相馬市長選の無投票当選は、立谷氏が再選を果たした2005年以来で、1954年の市制施行後では3度目。6選は県内59市町村の現職首長で最多。

 立谷氏は迅速な新型コロナウイルスワクチンの接種体制を実現し、「相馬モデル」として全国の注目を集めた。引き続き、追加接種に向けた体制構築や、地域経済の活性化に取り組む。

 当選証書付与式は20日午前11時から、市役所で行われる。任期は来年1月19日から4年。

 迅速なワクチン接種を評価

 【無投票当選の軌跡】相馬市長選は、新型コロナウイルス禍の中、ワクチン接種を迅速、着実に進めた現職立谷秀清氏の手腕が評価され、無投票での6選が決まった。

 立谷氏は、コロナ禍の安定継続を理由に各種団体から出馬要請を受けたが「多選の是非を憂慮する」として即答は避け、立候補表明は12月市議会初日までずれ込んだ。

 一方、大型公共事業などが当面なく、対立軸を見いだしにくい状況もあって、対抗候補擁立の流れは大きなうねりにならなかった。無投票の阻止を掲げた新人が、告示直前に立候補の意思を示したが、出馬には至らなかった。

 震災から10年が過ぎ、高速交通網の整備など市内の復興事業は進展した。コロナ禍の先行きが見通せない中、立谷氏は市民の信頼に応え、復興整備を産業振興へとつなげて「飛躍」の礎を築く責任を負う。(相馬支局・丹治隆宏)