相馬市長選6選・立谷秀清氏に聞く 「感染症対応」万全を期す

 

 12日に告示された相馬市長選で無投票当選した現職の立谷秀清氏(70)は、福島民友新聞社のインタビューに応じ、新型コロナウイルス対策に万全を期し、復興整備を生かした観光振興に注力する考えを示した。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―5期20年の振り返りを。
 「就任当時は、市の財政が非常に苦しかった。それを乗り切ったところに、震災が来た。その後は亡くなった人たち、殉職した消防団員のために、少しでもよりよい相馬にすることが、私の責務だと思ってきた。厳しい経験だったが、得られたことがある。震災後、市民には『いざというときにはみんなでまとまるんだ』という意識が生まれ、市職員には危機に際して自ら考え、実行する習慣が身に付いた。新型コロナウイルスワクチン接種はスムーズに進めることができたと感じている。それには、この10年で培った相馬市の気質と言うべきものが大きな役割を果たしている」

 ―市民への3回目の接種が迫っている。
 「これまでの接種で最優先したのは安全性の確保であり、今後も変わることはない。3回目ではファイザー製、モデルナ製、どちらを選ぶか、という問題が出てくる。それぞれのワクチンの性能や交差接種に関する情報をより正確に、分かりやすく提示した上で、市民に判断していただくことになる。市としては体制を整え、その希望を十分に尊重できるようにしたい。オミクロン株の動向も注視している。急激な感染拡大に備え、酸素ステーションを整備する。それに向けた医師会との協議を進めているところだ。新型コロナに関しては、あらゆることを想定して万全を尽くしたい」

 ―感染症で地域経済は大きな打撃を受けている。
 「安全性を確保しながら、元の元気な相馬市に戻していくことが大きな課題になる。観光業、飲食業などに対して、市としての独自支援や、国の施策の取り次ぎに精力的に取り組んできたが、今後はできるだけ速やかに正常な経済活動に戻れるよう、あるいはそれに近い状態を実現するために努力する。国内版ワクチンパスポート、陰性証明パッケージに関しては今後活用に向けた議論が進むと思うが、市民生活の活性化に生かし、感染防御と地域経済の再生を両立させたい」

 ―震災復興の効果をどう生かすか。
 「相馬福島道路の開通などハード面での整備が進んでおり、それらを土台に今後は交流人口の拡大に注力していきたい。昨年10月にオープンした浜の駅松川浦は観光客の受け皿として機能しており、コロナ禍にあっても順調に来場者数が伸び、周辺の飲食店にも波及効果が出ている。今後は、人の流れを相馬市全体に広げていく。そのために観光客が訪れたいと思う場所を市内で増やす必要がある。おもてなしの気持ちを醸成することも重要だ。市民は震災で互いに助け合う心を育んだ。その気持ちが相馬のおもてなしの心の原点となるだろう」