県北1区、県中2区に 衆院区割り案勧告、福島県1減全区再編

 

 衆院選挙区画定審議会(区割り審、川人貞史会長)は16日、小選挙区定数を10増10減し「1票の格差」を是正する新たな区割り改定案を岸田文雄首相に勧告した。見直し対象は25都道府県、140選挙区でいずれも過去最多。格差は現行区割りの2.096倍から1.999倍に縮小した。定数5から4に1減となる本県は、福島、郡山、会津若松、いわきの4市を中心に県地方振興局の地域ごとに「県北」「県中」「県南・会津・南会津」「相双・いわき」の4選挙区とする案が示された。

 勧告では、会津が新3区、浜通りが新4区となる。中通りは県北を新1区、県中を新2区とし、県南は会津とともに新3区を構成する。区割り審は改定の根拠について「浜通り、中通り、会津の三つを軸にした」と説明。県北から浜通りにまたがる1区の是正と人口が最も少ない4区の拡大、震災の影響を踏まえた浜通りの一体化などを念頭に議論したとしている。

 新区割りは2020年の国勢調査に基づく。選挙区別人口は新1区46万2945人、新2区51万5644人、新3区39万2425人、新4区44万9270人。全国最少の鳥取2区との格差は、最少の新3区が1.432倍、最大の新2区は1.882倍となる。

 現行の5選挙区には、比例東北ブロックでの復活当選も含め9人の衆院議員がいる。区割り勧告に含まれないが、比例代表ブロックも3増3減され、東北は定数13から12へと「1減」となる。自民党は全5選挙区、立憲民主党は現5区を除く4選挙区に現職を抱えており、今後は次期衆院選をにらんだ候補者調整が焦点となりそうだ。

 地方の声どう国政に 地域特性は一定程度考慮

 【解説】2020年国勢調査に基づき、衆院小選挙区の定数1減を余儀なくされた本県。衆院選挙区画定審議会(区割り審)の勧告は、福島、郡山、会津若松、いわきの4市を中心に全ての選挙区を再編する大規模な改定だった。

 前回の見直しでは、当時3区だった西郷村が4区に編入され、西白河郡が分割された。今回は市郡の分割はなく、県の地方振興局ごとに区割りが整理された形で、内堀雅雄知事が意見照会で区割り審に求めた「地域特性の十分な考慮」は一定程度、反映されたとみていい。ただ、定数1減による影響は大きい。福島民友新聞社が行ったアンケートでは、県内59市町村長のうち半数超の32市町村長が「1票の格差是正」を目的とした区割りの改定に反対の姿勢を示した。人口減少が進む中、地方の声が国政に届きにくくなるとの懸念からだ。

 「10増10減」の背景には、地方の人口流出と東京一極集中がある。憲法が求める投票価値の平等は当然だが、地方の声を国政に届ける国会議員の減少は、地方創生に相反するとも言える。13年には参院福島選挙区も定数が削減された。1996年の小選挙区制移行後、次期衆院選が10回の節目を迎える中、「地方の声の反映」と「1票の格差是正」を両立させる制度が求められている。(飯沢賢一)

衆院区割り案勧告