衆院区割り、懸念も安堵も 有権者「文化違う」「混乱少ない」

 
17年にも区割りが変更となった西郷村。村内からは新たな区割り案に戸惑いの声も上がる

 衆院選の新たな区割り改定案が16日示され、県内の小選挙区の区割りが大きく変わる見通しとなった。生活圏の異なる地域が一つの選挙区に含まれることになった有権者からは戸惑いの声が上がり、選挙区と行政区分が重なることとなった選挙区では、改定を好意的に受け止める有権者もいた。

 「(区割りが)何度も変わると投票先もころころ変わり、困ってしまう」。2017(平成29)年に区割りが変わったばかりの西郷村で暮らす会社員中村浩昭さん(48)は困惑する。その上で「同じ県内とは言え、会津と中通りは文化や抱える問題も違ってくる。仕方ないことだと思うが、違和感を抱いてしまう」と新たな区割りに戸惑いの表情を見せた。

 西郷村が含まれる新3区は、会津地方全域と県南の市町村が入り、生活圏の異なる複数の地域で構成される県内で最も広大な選挙区となった。現在の3区は二つに分かれてしまうことになり、棚倉町の自営業近藤孝さん(42)は「今まで応援していた議員さんが応援できなくなるかもしれず心残りがある」としながら、「会津と県南では抱えている問題は違うが、会津のことを知るきっかけになる」と受け止めた。

 新1区と新2区は、それぞれ県北、県中の行政区分と同じ枠組みに変わる。二本松市の団体職員菅野美咲さん(21)は「行政区分と選挙区が同じになるのは混乱が少なくて良いのでは」と好意的に受け止める。一方、郡山市などと同じ新2区となる須賀川市の会社員堀江陽介さん(37)は「(白河市や西白河郡など)身近な地域が分かれる。須賀川がより郡山に近づくような印象を受ける」と話した。

 新4区は浜通りが選挙区。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた被災地の多くを含むが、飯舘村の農業高橋日出夫さん(72)は「村は気象も生活圏も5区とは異なる」とし、「議員とのつながりもなくなり、復興行政への有権者の声も届きにくくなる。有権者の関心もなくなってしまうのではないか」と不安を口にした。

 陣営「有権者と距離」「対応しやすい」

 従来の小選挙区で衆院選を戦ってきた県内各陣営の関係者には、不安と安堵(あんど)が入り交じった。

 会津と県南で構成される新3区。地元選出の衆院議員を支援してきた会津若松市の男性(48)は「今の4区でも広すぎて地域を巡るのが大変。広くなればなるほど1人の議員で声を拾うことは難しくなる。有権者との距離が離れてしまう」と危機感を口にした。

 新2区となる田村市の会社役員男性(68)は、これまで3区の候補者を支えてきた。人口の多い郡山市と同じ選挙区となることに「都市部と同じ土俵に上がると、地方の候補者は分が悪くなるだろう」と不安を口にする。

 新4区となるいわき市で、長年にわたって5区候補者の後援会幹部を務めてきた男性(72)は「(新区割りでは)相馬方面につながりの深い双葉郡の関係者を中心に呼びかけることになる。その意味ではほかの選挙区より対応しやすい」と分析。1区の候補者の選挙を支援してきた福島市の男性(71)は、新たに二本松市や安達郡が加わる新1区について「新たな対応は必要だが、結局は大票田の福島市が重要なことは変わらない」と話した。