「福島の未来切り開く」 知事選3選・内堀雅雄氏インタビュー

 
「被災者の生活再建や帰還に向けた生活環境の整備、風評・風化対策などに力を尽くす」と抱負を語る内堀氏

 30日投開票の知事選で3選を果たした内堀雅雄氏(58)は福島民友新聞社のインタビューに答え、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興と地方創生の推進を重要課題に位置付け、「福島の未来を切り開く」と3期目に向けた決意を語った。来春ごろとされる原発からの処理水海洋放出は「日本全体の問題」とし、理解醸成と万全な風評対策を講じるよう国に求めていく考えを強調した。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―3期目の抱負を。
 「本県は未曽有の複合災害や度重なる自然災害、急激な人口減少に加え、新型コロナウイルス感染症、原油価格、物価の高騰など重い課題を抱えている。重要課題は震災と原発事故からの復興と地方創生の推進だ。被災者の生活再建や帰還に向けた生活環境の整備、特定復興再生拠点区域外への対応、風評・風化対策に力を尽くす。全ての取り組みの基盤となる健康長寿県づくりや、疲弊している地域経済の維持・再生にも全力を挙げるつもりだ。県内経済や県民生活への影響を把握し、国の経済対策を活用しながら県民の暮らしを守っていく」

 ―各課題に影響を及ぼしかねないのが処理水の海洋放出だ。内堀氏の姿勢が見えにくいとの指摘がある。
 「今なお、海洋放出に反対する意見や新たな風評の発生を懸念する声、陸上保管による復興への影響を危惧する声があるように、この問題は福島県だけではなく、日本全国の問題だ。国が前面に立ち、関係者に丁寧かつ十分な説明を重ねて理解が深まるように取り組み、断固とした決意で万全な風評対策に取り組むことを今後も国に強く求める。11月にも、政府への予算要望の際に本県の考え方を整理して具体的に訴える予定だ」

 県農産物の品質諸外国で伝える

 ―県産農産物の輸入規制は12カ国・地域に減少したが、今後の対応は。
 「国や県、関係機関が力を合わせて取り組んだ成果だ。だが、震災前に積極的に輸出をしていた香港や台湾、または中国、韓国のように近隣の国々では規制撤廃が進んでいない。11年が経過しても、いわゆる風評、誤解、偏見を持ったままということは、福島プロブレム(問題)ではなくジャパンプロブレムだ。今後は感染症対策を講じながら、私自身が実際に諸外国に行き、農産物の品質の高さや安全性、おいしさを伝える」

 ―福島国際研究教育機構に地元の期待は高まっている。効果を全県に波及させるためにどうするか。
 「機構を核に県内の大学や研究機関、企業、教育機関などの広域的なネットワークの形成を図る。機構設立後に組織される協議会にも積極的に参画し、地域と連携する取り組みを推進して相乗効果を高める。研究者やその家族など新たな人の流れも期待され、各市町村と住まいや商業、教育、医療など広域的なまちづくりに取り組む」

 人口減への対策長期的、多角的に

 ―地方創生に向けて人口減少対策への取り組みは。
 「何か一つ処方箋を実施すれば解決するものではなく、長期的、多角的、総合的に取り組む必要がある。若者の県内定着や魅力ある雇用の場の創出、新規就農者の受け入れ態勢の整備など人の流れを生み出す施策を展開する。新型コロナで地方分散の動きが広がっている現状を好機と捉え、本県ならではのライフスタイルの構築、提案を進める」

 ―女性の活躍については。
 「女性活躍の推進は人口減少対策に対しても必要だ。福島県では男性社会が色濃く残っている部分があるが、女性の視点は非常に重要。意識の変革のためにもアンコンシャス・バイアス(思い込み)を一つ一つ壊す」

 ―新型コロナにはどう対応していくのか。
 「感染第7波のピークと比べると減少しているが、リバウンド傾向にあり心配している。大事なことは基本的な感染対策を行う中で新規陽性者を抑え、必要な人が適切に医療を受けられる体制を堅持することだ。『陽性者登録センター』は順調に動いており、一定程度対応ができていると思う。ただ、今後はインフルエンザとの同時流行も懸念される。寒くなり換気がしづらい状況になるが、換気の大切さを訴えていきたい」

 ―3期目を迎え組織を停滞させないためには。
 「『シンカ』(進化、深化、新化)とは、簡単に言えば去年と同じことをしないということだ。一つ一つの仕事でも、前回までとは違う自分ならではのカラーを加えていくことで停滞感は必ず壊れる。時には失敗もあるが、新しいことへの挑戦を続けていく」