区割り変更...有権者「不公平ないように」陣営「ゼロからスタート」

 
本県の最南端に位置する矢祭町中心部。町内からは、新たな区割りについて戸惑いの声も聞かれた

 18日成立した改正公選法で衆院小選挙区の区割りが見直された県内各地では、有権者から戸惑いの声が聞かれた。また区割り変更に対応する現職議員の関係者からは「ほぼゼロからのスタートになる形だ」とのため息が漏れた。

 県南地方に住む有権者の一部からは、生活圏が異なる会津地方と同一の新3区になることに対し、不安の声も上がった。「会津地方と東白川郡では地域性や文化が違う。われわれの声が国政に届きにくくなるのではないか」。矢祭町で小売業を営む宗田浩一さん(50)はこう懸念し、「新3区の議員には東白川郡にも出向いてもらい、実情を知ってほしい」と求めた。

 同じく新3区となる白河市の自営業池田尚弘さん(35)は「風土や歴史、考え方などを生かしたまま、不公平感が出ないようにしてもらいたい」と望んだ。

 また福島市などと同じ旧1区から浜通りの新4区になる相馬市の自営業の男性(42)は「相馬市や新地町は、大票田のいわき市と距離的にだいぶ離れている」とし、「今後、この地域の要望が後回しになってしまうのではないか。浜通り全体をよく知っている人を選びたい」と新たな区割りに困惑をのぞかせた。

 一方、現職議員の関係者は、新たな区割りへの対応を模索中だ。新3区となる現職議員の関係者の男性(49)は「今までつながりのないところで、顔と名前を覚えてもらうところから始まる」と見据える。ただ、これまで訴えてきた内容を変えるわけではなく、これまでの主張を浸透させていくことを基本とする考えで、「地理的なことを考慮した政策を考えていくことになるだろう」と話した。

 新3区となる現職議員を支援してきた男性(60)は「今まで以上に選挙区をくまなく歩き、丁寧に政策を訴えることが大事」とし、「その姿を見たら、声をかけて意見を言ってもらいたい」と呼びかけた。

 須賀川、田村両市などが加わり県中地方で新2区となる現職議員を長年支援している女性(75)は「選挙区のエリアが変わる以上、新たに加わった地域の実情をどのように把握していくかが重要になる」と強調する。その上でこの女性は「相手候補が替わる可能性があり、いつ選挙があるかも分からない。これまで以上に危機感を持って対応していくべきだろう」と今後を見通した。