【衆院・変わる選挙区(下)】立民重鎮、選択に苦慮

 
区割り変更を「身が引き裂かれる思い」と語る玄葉氏。新たな選挙区の選択が迫られている=19日、矢祭町

 衆院小選挙区定数「10増10減」を反映した改正公選法の成立から一夜明けた19日、立憲民主党の現職玄葉光一郎(58)=10期、福島3区=の姿は矢祭町にあった。「私の選挙区が真っ二つになる。文字通り、身が引き裂かれる思い」。支持者を前に、小選挙区導入後、全ての選挙を戦ってきた選挙区への愛着を吐露した。

 現3区は、玄葉の地元・田村市や須賀川市など県中が郡山市を中心とした新2区に、矢祭町や白河市など県南は会津地方との新3区に分割される。新2区か、新3区か―。選択を迫られる玄葉は態度を明確にはしなかったものの、「会津で戦うのは正直、大変だと思う」と打ち明けた。現2区には昨年初当選し、平成生まれ初の衆院議員となった現職馬場雄基(30)=1期、比例東北=がおり、県連幹事長の高橋秀樹は「新2区に現職が2人いるという現実問題がある」と調整の必要性を指摘する。

 「若輩者だが信念を持って質問に立ってきた」。馬場は初当選以降、約1年間の活動に胸を張る。除染で出た土壌を保管する中間貯蔵施設を巡り、先行きが見えない最終処分の方向性などについて政府の姿勢を鋭く追及する姿に「党の若手エース」(立民関係者)との期待も高い。候補者調整について「どういう形になるのかは全く分からない」と述べるにとどめたが、「(衆院選で得た)8万5501票の期待に応えていかなければならない。責任を全うしたい」と力を込めた。

 玄葉、馬場をはじめとする県内の現職4人について、高橋は「年齢的にも脂が乗っている人たちだ。当然、今後も支えていく」とする。県連内には「比例単独での立候補者は名簿順位で優遇されるよう対応を求めるべきだ」との声があるほか、現職のいない新4区に1人を転出させる案も浮上している。県連代表の現職金子恵美(57)=3期、福島1区=は「あらゆる選択肢を想定したい」と語る。

 玄葉はこの日、党本部との交渉の必要性を指摘しながらも、馬場と現4区の現職小熊慎司(54)=4期=を含めた「3人のうち2人が小選挙区、1人が比例に回るような形を取るしかないと思う」との考えを示した。その上で、当選10回を誇る重鎮としての責任感をにじませた。「誰かを虐げるような結果にならないよう、来年の早い時期に私の責任、判断で決めなければならない」(文中敬称略)