南相馬市議選・戦いの跡 元市長の桜井氏が最多得票...2位の3倍

 
山沢委員長から当選証書を受ける桜井氏(右)

 20日に投開票された南相馬市議選では、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、人口減少対策などに取り組む新市議22人が決まった。今年1月の門馬和夫市長再選後初めての市議選で、今後は市政運営に影響を及ぼす可能性のある会派構成や、正副議長を中心とした議会人事が焦点となる。

 トップ当選は元市長の桜井勝延氏(66)。1月の市長選で現職の門馬氏に敗れ、市議での再起を期した。桜井氏の陣営は後援会組織の引き締めを図り、市議選で最多得票となる6061票を積み上げた。2位の当選者に約3倍の票差をつけ、市議に返り咲いた。

 首長経験者が退任後に地元自治体の議員選に出馬し議員への返り咲きを目指すのは異例で、桜井氏は抜群の知名度から多くの地域で現職の地盤に食い込んだ。今後は議会内での桜井氏の影響力が注目される。

 各候補は浮動票の行方を巡り、激しい票の奪い合いを展開。投票率が56・37%と前回比0・46ポイント上昇した一方、当選ラインは前回の638票を下回る517票だった。現行定数で最多の26候補が出馬したことにより票が分散したほか、一部の候補者に票が集中したことが影響したとみられる。

 当選者の内訳を見ると、現職19人、元職2人、新人1人。新人は最年少の表信司氏(44)が885票を獲得して初当選。元職は桜井氏のほか、鹿島町議9期、市議2期を務めた最年長の郡俊彦氏(82)が1163票で再び議席を得た。新市議の平均年齢は64・77歳となった。

 党派別では無所属20人、共産1人、公明1人。共産は2人当選を逃した。地域別では鹿島区3人、原町区14人、小高区5人。鹿島、小高両区の候補者は全員が当選した。女性は現職と新人の2人が立候補したが、議席を得たのは改選前と同じ現職1人にとどまった。(相双支社・坪倉淳子)

 22人に当選証書

 任期満了に伴う南相馬市議選で当選した新議員22人への当選証書付与式が21日、市役所で行われた。

 市選管の山沢征委員長がトップ当選した桜井勝延氏ら新議員一人一人に当選証書を手渡し「激しい選挙戦が展開されたが、市民目線の感覚を生かし、市民の期待に応えてほしい」と述べた。新議員の任期は12月1日から4年。

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