【福島県議選】復興道筋や地方創生問う 19選挙区・総定数58争う

 

 統一地方選の実施年となる2023年の県内は、県議、県内17市町村の首長、33市町村の議会議員が任期満了を迎える。このうち、春の統一選で行われるのは5町村長選、5市町村議選の見込みで、春から秋にかけて選挙が続いていく。震災、原発事故から10年以上が経過し、人口減少も進む中、復興の道筋や地方創生の方向性などが主な争点となる見込み。

 各党、県政への影響力狙う 

 県議の任期満了日は11月19日。東京電力福島第1原発事故に伴う住民避難が続く双葉郡選挙区(定数2)を含め、現行の総定数58と19選挙区を維持して行われることが決まっており、年明けから前哨戦が本格化しそうだ。

 2019年に行われた前回県議選の総立候補者数は過去最少の75人で、19選挙区のうち9選挙区が無投票となった。今秋の県議選でも多くの現職の出馬が見込まれ、少数激戦が予想される。昨年10月の知事選では自民党、県民連合、公明党の各会派が現職の内堀雅雄知事を支援。共産党を除く「オール与党」体制で内堀県政を支えていく上で、県政運営への影響力確保の観点からも各党とも議席の上積みを図りたい考えだ。

 最大会派の自民党には、過半数を超える31人が所属。現職に加えて、空白区の相馬市・新地町と石川郡、定数の半数を割り込んでいる福島市、伊達市・伊達郡、いわき市の各選挙区を中心に新人の擁立を目指す。

 立憲民主党県連に所属する11人と無所属7人の計18人で構成する第2会派の県民連合は、現職の意向を確認した上で全員の当選を目指す方針。空白区や大票田・郡山市などでのさらなる擁立も視野に準備を進める。

 共産党は1次公認として現職5人、新人1人の擁立を決定。6議席を確保し、6常任委員会全てに議員を送り出したい考えだ。

 公明党は、前回県議選で過去最多の4議席を獲得。議席の維持を視野に、現職4人を含めた候補者の選定作業などを進める。

 県議会に議席を持たない社民党は候補者擁立の可能性を模索している。国民民主党は今後、対応を検討していく。(選挙区の右数字は定数)

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 【福島市・8】現職は自民が西山尚利(57)=4期、佐藤雅裕(56)=3期、渡辺哲也(46)=1期、県民連合が立民の高橋秀樹(57)=4期=と紺野長人(67)=3期、無所属の大場秀樹(53)=2期、公明が伊藤達也(52)=2期、共産が宮本しづえ(70)=3期=の8氏。

 現職を軸とした選挙戦が予想されるが、去就が不明確な現職がいる。すでに共産は宮本氏の擁立を決定している。このほか新人で元市議男性が立候補の準備を進めている。

 【伊達市 伊達郡・3】現職は立民の亀岡義尚氏(59)=5期=と自民の佐々木彰氏(58)=2期、共産の大橋沙織氏(31)=1期。

 亀岡、佐々木の両氏は立候補を予定しているとみられる。共産党県委員会は1次公認候補として大橋氏の擁立を発表している。

 今後は旧伊達郡選挙区時代から県議を輩出してきた川俣町や大票田の伊達市保原町などでの新人擁立の動向が焦点となる。
 
 【二本松市・2】議席を独占する自民の2人のうち、高宮光敏氏(51)=2期=は立候補を予定。遊佐久男氏(63)=3期=は支援者らと調整を進めている段階だ。非自民系も候補者擁立を模索している。
 
 【本宮市、大玉村・1】自民現職で副議長の佐藤政隆氏(69)=4期=が立候補を予定している。現時点で、ほかに立候補の動きは具体化していない。
 
 【郡山市・10】現職は自民の佐藤憲保(68)=7期、長尾トモ子(74)=5期、山田平四郎(69)=3期、山口信雄(56)=1期、鈴木優樹(38)=1期、佐藤徹哉(54)=1期、県民連合で無所属の佐久間俊男(67)=3期=と椎根健雄(45)=3期、公明の今井久敏(69)=4期、共産の神山悦子(67)=6期=の各氏。

 昨年10月の県議補選で自民新人が当選し、有権者の動向が前回から変化する可能性がある。去就が不透明な現職がいるほか候補者擁立を模索する動きもあり、選挙戦となるかは流動的な面が残る。
 
 【須賀川市、岩瀬郡・3】自民現職の渡辺康平氏(37)=1期=が立候補を表明しているほか、共産新人の丸本由美子氏(60)が立候補を予定。立民現職の宗方保氏(74)=6期=と自民現職の水野透氏(55)=1期=は、立候補への態度を明らかにしていない。
 
 【田村市、田村郡・2】ともに現職で自民の先崎温容氏(48)=3期、立民の三瓶正栄氏(61)=2期=は立候補するとみられている。先崎氏は田村市滝根町、三瓶氏は三春町が地盤。前回は無投票に終わったことから、新人擁立の動向が焦点となる。
 
 【石川郡・1】立民現職の円谷健市氏(68)=3期=は進退を明らかにしていない。ほかに立候補を目指す動きがある。
 
 【白河市 西白河郡・3】現職は自民の渡辺義信氏(60)=5期=と満山喜一氏(71)=5期、立民の三村博隆氏(52)=2期=の3人で、いずれも表明はしていないが、出馬の公算が大きい。
 渡辺氏は旧東村、満山氏は旧白河市、三村氏は矢吹町が地盤で、「すみ分け」はできている。ほかに立候補の動きは現時点では具体化していない。
 
 【東白川郡・1】自民現職の宮川政夫氏(63)=2期=が3選に意欲を示している。前回は無投票当選だった。ほかに立候補を模索する動きは具体化していない。
 
 【会津若松市・4】現職は自民の佐藤義憲(47)=2期、佐藤郁雄(59)=1期、立民の宮下雅志(67)=4期、無所属の渡部優生(61)=2期=の4氏。いずれも再選を目指す。新人擁立の目立った動きはないが、夏に会津若松市長選が予定されており、市内の政治情勢は活発化しそう。
 
 【河沼郡・1】自民現職の小林昭一氏(70)=3期=のほかに目立った動きはない。
 
 【大沼郡・1】自民の現職山内長氏(61)=1期=が再選をにらむ。2021年4月の補選で無投票当選となった経緯から、今回も無風の公算が大きい。
 
 【喜多方市、耶麻郡・2】いずれも現職で、立民の瓜生信一郎氏(73)=9期、自民の江花圭司氏(47)=1期=が立候補を予定する。現時点で、ほかに立候補の動きは具体化していない。
 
 【南会津郡・1】民現職の星公正氏(69)=3期=は立候補を表明していない。前回は新人との一騎打ちとなり、僅差で当選を果たした。水面下で自民と非自民系からそれぞれ新人を擁立する動きがある。
 
 【いわき市・10】現職は自民の青木稔(77)=9期、矢吹貢一(67)=3期、鈴木智(49)=3期、坂本竜太郎(42)=2期、県民連合で無所属の西丸武進(78)=7期、立民の古市三久(74)=4期、公明の安部泰男(65)=3期=と真山祐一(41)=1期、共産の宮川絵美子(76)=4期=と吉田英策(64)=2期=の10氏。

 今のところ現職は全員が立候補する見通しだ。このほか自民や連合系の市議にも擁立の動きがあり、選挙戦となる公算が大きい。

 公明、共産は2議席死守を目指す。社民は各支部から候補者の情報を集め擁立を模索している。
 
 【双葉郡・2】無所属現職の橋本徹氏(47)=2期=と、昨年10月の補選で当選した自民現職の佐々木恵寿氏(65)=1期=が立候補を予定する。橋本氏は南双、佐々木氏は北双が地盤。

 東日本大震災から12年となる中、今後の地域再生を巡り新たな格差、課題が生じつつあるとの声もあり、新人が出馬を模索する可能性もある。
 
 【南相馬市、飯舘村・2】現職は自民の太田光秋氏(54)=6期、立民の高野光二氏(70)=3期。前回は無投票で、今回も現職2人が軸になるとみられる。

 今後の新人擁立の動きがあるかどうかが、選挙戦の行方を左右しそうだ。
 
 【相馬市、新地町・1】無所属現職の荒秀一氏(71)=2期=が3選を目指して立候補する見通し。新人の擁立を模索している自民の動向が、今後の焦点となる。

 荒氏は前回、前々回とも自民新人との一騎打ちを制している。