「自立」編へ識者の意見【番外編 下】開沼博氏・福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員

 
開沼 博氏

 ◆開沼 博氏

 自ら考え合意形成を

 政治家や東京電力が避難者に対して「自立しろ」と促すと「それは道理的におかしい」と感じる人が多いと思う。一方で、自立が必要だと薄々感じている人は多くなってきている。

 賠償からの自立もそうだし、自主避難者の自立もそう。震災、原発事故から6年目以降、予算が削られていくことは誰もが分かっているのに、いまだに公共事業頼りになっている本県の産業についても、自立が必要だと言える。

 連載は、今論じるべき点を明確に示した。

 何十年も賠償をもらっていていいと思っている人はいないだろう。当然求められる自立をめぐる問題について議論ができないのは不健全だし、避難者自身が考えるべき問題でもある。国や東電が自立を促すのを待っていてはだめ。「お上」に委ねる姿勢ではなく、自分たちで考え、合意形成を図っていくことが求められる。

 (2015年12月12日付掲載)