富岡でガソリンスタンド再開 200メートル先は帰還困難区域

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ガソリンスタンドの営業を再開した古室さん(左から2人目)と博子さん(左)

 富岡町夜の森南でガソリンスタンド「エネオス・夜の森給油所」を営むコムロは19日、原発事故による避難指示解除を受け、約6年ぶりに本格的に営業を再開した。町内でガソリンスタンドの再開業は4店舗目。

 古室社長「一からやり直したい」

 先に再開した3店舗は全て国道6号沿いで、住宅地にあるガソリンスタンドの再開は初めて。ただ、夜の森地区の大半は帰還困難区域で、店舗の200メートル先には地区を分断するバリケードが立ちはだかる。社長の古室良典さん(57)は「震災前は地域密着で住民に身近なスタンドとして愛されていた。環境は厳しいが、この場所で営業することに意義がある。一からやり直したい」と決意を語った。

 古室さんは、原発事故で奈良県など県内外6カ所に避難先を転々とし、いわき市に落ち着いた。営業再開に向け、貯蔵タンクなど店舗を全面改装した。震災前は車両ピットや洗車機も備えていたが、店舗面積を半分ほどに縮小、給油と配送に機能を絞った。

 新店舗は古室さんと妻博子さん(53)、2人の従業員で再出発した。1人は田村市から1時間かけて通勤、もう1人は会津から単身赴任した。県内各地でガソリンスタンドを展開するクラシマグループの仲間も物心両面で手を差し伸べ「多くの人たちに支えられて再開できた。恩返しをしたい」と感謝の思いを口にする。

 営業時間は午前7時~午後7時(土曜日は同5時)。日曜、祝日は休業。