帰還困難区域の母校、35年前のタイムカプセル開く 双葉北小の卒業生

双葉町の双葉北小を1984(昭和59)年3月に巣立った卒業生が22日、東京電力福島第1原発事故に伴い帰還困難区域となっている同校を訪れ、タイムカプセルを掘り起こした。中から出てきた思い出の品々と"再会"。震災や原発事故を一時忘れ、35年前に思いを巡らせた。
「古里を忘れないように少しでもできることを」。町の文化継承に取り組む団体「夢ふたば人」の事務局を務め、掘り起こしを企画した福田一治さん(48)は、敷地の一角をシャベルで約1メートル掘り下げた。
83年度の卒業生は2クラスで53人。この日は8人が集まった。まず出てきたのは、ワインやウイスキー。成人したらみんなで飲もうと入れたもので「どんだけ酒が好きなんだよ」と冗談が飛ぶ。
続いて、茶色のつぼのふたを開けると、自分の似顔絵を描いた版画や小テスト、埋めた日の84年3月19日付の新聞などが入っていた。
いわき市に避難する主婦(47)は「すごい。やっと掘り起こせた」と喜ぶと同時に、「学校入り口の坂を友達と歩いた。校庭はこんなに小さかったかな」と思い出に浸った。楽しみはまだ終わらない。さいたま市から駆け付けた看護師の女性(48)は、卒業に当たってメッセージを収めたテープを手に取り「12歳の私は何を話したんだろう。聞いてみたい」と笑顔を見せた。
タイムカプセルは測定で汚染されていないことが確認された。12月14日にいわき市で開かれる同級会でお披露目される。
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