役場職員が独自情報紙 大熊避難解除1年、町と町民の絆維持課題

 

 東京電力福島第1原発事故で大熊町に出された避難指示が大川原と中屋敷の両地区で解除されて、10日で1年となった。意向調査では約6割の町民が町に戻らないと回答しており、町と町民の絆の維持が課題。そんな中、役場の若手職員を中心に、大川原地区の現状を伝える手書きの情報紙を発行している。担当者は「普通に生活している様子を伝えることが大事」と話す。

 情報紙「大川原LIFE」は昨年10月に創刊。A4用紙2枚分の紙面を、町広報誌とともに配布するなどしている。「デジタルな文字では表現できない親しみやすさや、温かさを感じてもらいたい」として、紙面は手書きで、イラストや写真をふんだんに使用している。

 編集に携わる町議会事務局の佐藤由香さんは、解除後の昨年5月から大川原地区に暮らす。「実際に住んでみたらどうなのかということを大事にしている」という。創刊号では「大川原あるある」として、買い物環境が限られている町内で、夜にシャンプーの買い忘れに気が付き焦ったことや、夏のある夜、道路の真ん中で寝ているイノシシと遭遇した様子を紹介した。最新号の4月号では、役場前に3月にオープンした居酒屋で女子会を開催した様子をリポートしているほか、編集に携わるメンバー4人が解除から1年間の出来事などを振り返っている。

 「発行する前はネガティブに取られないかという心配もあった。暗くならないように書こうと心掛けている」という。

 同じく編集に携わる町教育総務課の喜浦遊さんは「町の外にいる人に対して、報道以外の情報発信が弱い。町の人が町の人に広報する。何がどう変わっているのかを伝えていく。今後の帰還の判断に参考になるかもしれない」などと話す。