楢葉・松本幸英町長に聞く 教育充実、ビジネス創出

楢葉町の松本幸英町長に避難指示解除から5年を迎える町の現状と課題を聞いた。
―復興の現状は。
「特にこの1年間で屋内体育施設や薬局の完成など復興事業が大きく進んだ。住民が安心して生活できる環境は整った。今後は教育の充実や健康増進、新たな魅力の創出などソフト面の施策に力を注ぐ」
―人口の回復が課題だ。
「震災から9年半を迎える中で帰還の動きが劇的に改善されることはなく、帰還者も高齢人口に偏っている。復興に携わろうと移住した人も、希望する仕事がないなどの理由で流出してしまうケースもある。町と民間、大学などが連携し、それぞれのアイデアやノウハウを生かしながら新たなビジネスが自発的に生まれる環境を整えたい」
―国際教育研究拠点を町に誘致するメリットは。
「原発事故で失われた産業と雇用の回復に向け、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の司令塔となる施設だ。町が目指す『復興のモデルタウン』をさらに前進させるためにも全力で誘致に取り組む。研究者の生活に必要な環境は整っており、楢葉遠隔技術開発センターが立地するなど研究フィールドとしても最適な場所だと考えている」
―主力作物のサツマイモの産地化に向けた展望は。
「サツマイモ栽培は農業再生に向けた新しいチャレンジだ。栽培に取り組む農家の掘り起こしを図るとともに、新規就農者を支援したい。栽培技術を支援する体制の構築をはじめ、作付奨励金や農業機械、ハウス導入など独自の補助事業の創設も検討する」