「チェルノブイリと別型」2015年の発表裏付け 福島医大教授ら
福島医大医学部甲状腺内分泌学講座の鈴木真一教授と岩舘学講師らの研究チームは、東京電力福島第1原発事故を受けて県と医大が取り組む甲状腺検査で見つかった甲状腺がん138症例の遺伝子変異などを調べた結果、1986(昭和61)年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後に周辺で確認された甲状腺がんとは別型だったことを確認したとの研究成果をまとめた。医大が19日発表した。
長崎大などとの共同研究で、米国科学誌に発表した。鈴木教授らは2015(平成27)年にも原発事故直後の68症例を対象とした研究で同様の結論を発表している。鈴木教授は「15年の報告の際も、チェルノブイリで被ばくした小児の遺伝子変化とは大きく異なっていたが、今回さらに約2倍の症例を検討してもその結果は変わらなかった」と研究の意義を説明した。
今回分析の対象としたのは、13~16年に同講座で手術を行った138症例。遺伝子変異などについて解析を行った結果、「BRAF」型の遺伝子変異が約70%を占め、チェルノブイリで多く見られた「RET/PTC3」型は1例だけだった。BRAF型は、成人の甲状腺がんで頻度が高いタイプだという。また病理組織検査を行った結果、「古典型」の甲状腺乳頭がんが125例と最も多く、チェルノブイリで多く見られた「充実型」は2例だけだった。
チェルノブイリ原発事故では、事故に伴う放射線の影響で子どもの甲状腺がんが増えたことが報告されている。県と医大は原発事故当時18歳以下の約38万人を対象に甲状腺検査を実施。甲状腺がんが見つかっているが、チェルノブイリに比べ被ばく線量が低く、県民健康調査検討委員会は「放射線の影響は考えにくい」との見解を示している。
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